英独仏伊に豪、韓と雪崩を打ってAIIB参加表明 「実利優先」の決定、日本はさてどうする

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   中国が提唱して設立を進めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、先進7カ国(G7)から英独仏伊の欧州勢が相次いで参加を表明した。オーストラリアも追随し、中国が主導権を握ることを警戒して運営の透明性など問題点を指摘してきた日米が孤立する状況になっている。

   AIIBは英語名「Asian Infrastructure Investment Bank」の略。東南アジアや中央アジアなどの新興国、途上国に鉄道、道路、発電所といったインフラの建設資金を融資する国際金融機関として、中国の習近平国家主席が2013年10月に設立を呼びかけた。

   15年内の設立を目指していて、資本金1000億ドル(約12兆円)を見込み、中国が最大の出資国になり、本部は北京、総裁も中国が出すことが事実上決まっている。

  • 各国の理屈や思惑が複雑に入り混じる(画像はイメージ)
    各国の理屈や思惑が複雑に入り混じる(画像はイメージ)

主要国で参加に消極的なのは日米くらい

   途上国のインフラ支援の機関として世界銀行やアジア開発銀行(ADB)がある。世銀、ADBは教育や保健衛生、環境保護関連の事業にも融資している点では、インフラ整備に絞るAIIBと異なる点もあるが、業務の大半が重なるのは間違いない。アジアの新興国のインフラ整備のためには、ADBの試算で、2020年までに8.3兆ドル(約1000兆円)が必要とされるなど、既存の組織だけでは賄えない。その意味で、中国の世界一の外貨準備を後ろ盾に設立されるAIIBは期待を集めており、南シナ海の島々の領有権を中国と争うベトナムやフィリピンを含め、これまで30カ国以上が参加を表明している。

   特に、ここにきて英国以下の欧州主要国が雪崩を打って参加を表明したほか、G7の一員のカナダをはじめ、韓国やオーストラリアも参加を表明、主要な国々で参加に消極的なのがはっきりしているのは日米くらいという状況だ。

中国は経済的な影響力拡大が第一の狙い

   こうした一連の動きの背景には、各国の複雑に入り混じった理屈や思惑がある。

   日米の理屈は、融資などAIIBの意思決定の透明性確保という問題だ。日米が主導するADBの場合、日米を含む12カ国で構成する理事会が融資案件を審査する。恣意的な融資、環境破壊につながる融資などを排除するための仕組みで、日米にはこれが「国際標準」であり、3月22日に北京で開かれた経済フォーラムで中尾武彦ADB総裁がこのことを指摘した。対する中国の理屈は、AIIBでは迅速な意思決定を重視するということだ。楼継偉財務相は同じフォーラムで「西側のルールが最善とは限らない」と言い切っている。

   英国など欧州主要国は、透明性の必要については日米と共通の認識だが、「むしろ参加してAIIBのルール作りに関与し、透明性確保に努める」との現実的な判断とされる。

   もちろん、表向きの理屈だけではない。中国は経済的な影響力拡大が第一の狙いで、経済産業省関係者は「米国が主導する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が中国包囲網だと警戒しており、これを牽制し、金融面から対抗しようとの思惑があるのではないか」と分析する。「中国国内のインフラ整備一巡でだぶつく鉄鋼やコンクリートの手っ取り早い輸出先を求めている」(国際貿易筋)との指摘もある。

   日米は中国の政治的、経済的な影響力拡大を警戒。特に軍事力拡大を進める中国の動きに神経をとがらせる日本は、南シナ海で中国の脅威に直面する東南アジア諸国がAIIBを通じて経済的に中国に取り込まれるのに、何とか歯止めをかけたい立場だ。

英独仏は人民元の取引市場を自国内に整備したいとの思惑

   中国と地理的に離れ、日本ほど脅威を感じない欧州諸国は、景気低迷もあって、AIIB参加を通じて中国との経済関係を強めるとともに、アジアでのインフラ整備事業に参加しやすくなるとの期待がある。総選挙が近い英国が先陣を切って参加表明したのは、まさに実利優先の発想だ。また、英独仏は、中国の通貨・人民元の取引市場を自国内に整備したいとの思惑もある。

   現在、にわかにAIIB参加問題が世界でクローズアップされるのは、中国が3月末までに参加表明した国を「創始メンバー」として扱う意向を示しているからだが、それぞれの思惑の一方で、"弱み"もあって、複雑な展開になってきている。

   日本はAIIB運営面の問題点について中国側に照会中といい、麻生太郎副首相兼財務相は20日の会見で「(透明性が確保された場合には)協議する可能性はある」と述べ、参加の可能性に言及したものの、24日の会見で「我々の出している問いに答えがない以上、参加ということは難しい」と、軌道修正し、状況を見極める姿勢。インフラ輸出は安倍内閣の成長戦略の柱の一つだが、経済界はアジアのインフラ整備事業への参加で「(AIIB不参加で)日本企業が競争上不利にならないような対応や配慮が必要だ」(榊原定征経団連会長)と懸念する。

   米政府は硬軟両様の構えを示し始め、「国際金融の強化につながる新たな多国間機関を歓迎する」(シーツ米財務次官=国際問題担当)と、世銀やADBとの協調融資など具体的な連携を促す姿勢も見せる。

日米も参加すれば高格付けを得て資金調達面で有利

   一方、中国もAIIBで中国が拒否権を持たない意向を欧州の主要国に伝えたとされる。中国が恣意的にAIIBを使うとの懸念を払拭し、またADBの最大出資国として拒否権を持つ米国を牽制する狙いとみられる。ただし、中国も、いくら豊富な外貨準備を持つとはいえ、AIIBの実際の資金は国際市場で調達する必要がある。その点で英国を取り込んだのは重要な成果だが、日米も参加すればより高格付けを得て資金調達面で有利になるだけに、「主導権を握りつつ日米にも参加してほしいのが中国の本音ではないか」(国際金融筋)と見られる。

   また、創始メンバーの3月末締め切りという期限も「6月までに出資規模、比率などを調整することになっており、まだ交渉の余地はある」(大手紙経済部デスク)との見方もある。

   この間の一連の動きを受け、主要新聞の論調も参加論が勢いを増してきた。産経は英国が参加を表明した後の3月18日の「主張」(社説に相当)でも「公正な統治の確立や融資方法に不安が残るとの判断から、日本が現段階で参加を見送る方針をとっているのは妥当だ」と強硬姿勢を維持しているが、日経は3月20日の社説で「流れが変わった以上、現実的な目線で中国の構想と向き合うべきではないか。AIIBの否定や対立ではなく、むしろ積極的に関与し、関係国の立場から建設的に注文を出していく道があるはずだ」、毎日も3月24日の社説で「中国主導とはいえ、アジアの成長基盤を担う国際機関の設立だ。アジアの主要国である日本を含まない始動は、新銀行にとっても日本にとっても良いことではない。積極関与を真剣に検討すべきだ」と、参加へ舵を切るよう求めている。

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