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我慢しないで「健康長寿」目指す、これが本当のアンチエイジング アンチエイジング医師団代表・塩谷信幸氏に聞く

   「アンチエイジング」の考え方が世間に登場したのは、今から15年ほど前。今日では多くの関連商品が生まれ、マスコミの注目度も高い。

   だが、あふれ気味の情報の中には誇張や誤った内容もみられる。医師の視点から正しいアンチエイジングの普及に携わる、アンチエイジング医師団代表の塩谷信幸氏に聞いた。

  • 新サイト「Aging Style」で情報発信していくと語る塩谷氏
    新サイト「Aging Style」で情報発信していくと語る塩谷氏
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「健康長寿」の実現を医学的にサポート

――アンチエイジングはどのような目的で行うのですか。

塩谷 ひと言で言えば「健康長寿」です。決して不老不死を望むわけではありません。健康長寿の基本はライフスタイルですが、その約9割はバランスのとれた食事と適度な運動で保てます。
   当たり前の話とはいえ、自分の生活で実践し続けるのは簡単ではありません。長続きするようにどうやってモチベーションを持てばよいか。また、その人の足を引っ張っているような悪い習慣があればどう直せばよいか。こうした面を医学的にサポートするのが「アンチエイジング医学」です。
   アンチエイジングでは「見た目」をひとつの指標ととらえます。例えば肌をケアする、体型を整えるといった外側からの「介入」が可能だからです。私は形成外科が専門で、元から「見た目」に介入する診療をしていました。そこで私は、多くの人が本音の部分では気にしている「見た目」を重視し、研究会を立ち上げて活動を続けてきました。

――バランスのとれた食事と適度な運動を持続するコツはありますか。

塩谷 楽しくないと長続きしません。また極端な内容のプログラムは、試してみたくなっても続かないのが常です。いろいろな健康法のなかで「これならできそうだ」というものを1つでよいので、集中して取り組むのがポイントでしょう。逆に「続けないとダメ」「我慢しなきゃ」となるとストレスがたまり、健康長寿を目指すはずが本末転倒になってしまいます。「お腹がすけば食べればよい」ぐらいの、気楽な心構えでよいでしょう。

「医師団」が正しい知識を発信していく

――ライフスタイル構築となると、広い観点から健康を考えるのですか。

塩谷 アンチエイジングは医学の全分野に関係する、すそ野の広さが特徴です。ライフスタイルの話となれば医学だけではなく、美容、運動、社会心理学までかかわってきます。そこで、私が代表を務める「アンチエイジング医師団」は、さまざまな分野の専門医が集まって結成しました。

――医師団の活動について教えてください。

塩谷 まずは正しい知識の普及です。近年はアンチエイジングがポピュラーになる半面、興味本位で受け取られている部分が少なくありません。メディアから流れる情報も、例えば「これさえ食べておけば大丈夫」といった極端な話題も見かけます。このためマスコミを対象に年3回「懇話会」を開催し、基礎知識を学んでもらう取り組みをしてきました。一方、医師団が主体となって正しい情報を積極的に発信していくため、ウェブサイト「Aging Style(エイジングスタイル)」を立ち上げました。ここを定期的に閲覧すればアンチエイジングの情報は網羅している、と読者の方に認知されるようなサイトにしていきたいと考えています。

塩谷 信幸(しおや のぶゆき)氏プロフィル
北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治療センター理事長
医療法人社団 AACクリニック銀座 名誉院長
東京都出身。東京大学医学部卒業。東京米軍病院でのインターン修了後、1956年フルブライト留学生として渡米。外科および形成外科の専門医の資格を取得。帰国後、東京大学形成外科、横浜市立大学形成外科、北里大学形成外科教授。定年退職後も、国際形成外科学会副理事長、日本美容外科学会理事長を歴任。現在、日本抗加齢医学会名誉顧問を務め、形成外科、美容外科、アンチエイジング医学の発展に尽力している。