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AKBぱるるが「歌い方アレンジ」批判 「CD音源のまま」がいいのか巡り賛否両論

   「ぱるる」の愛称で知られるAKB48・島崎遥香さん(21)が2015年4月8日、トークアプリ「755(ナナゴーゴー)」で歌番組へのちょっとした不満を綴り、ネット上で話題となっている。

   アレンジしないで「CD音源のままのリズムで聴きたかったと思ってしまう」という発言がきっかけで議論に発展した。

  • 「あぁ普通のCD音源のままのリズムで聴きたかった」(写真は2014年4月撮影)
    「あぁ普通のCD音源のままのリズムで聴きたかった」(写真は2014年4月撮影)
  • 「あぁ普通のCD音源のままのリズムで聴きたかった」(写真は2014年4月撮影)

「喉からCD音源」を賞賛する人も

   まず、ファンからこんな不満が寄せられた。

「好きなミュージシャンのライブに行ったときに、楽しみにしてた曲が、アレンジVer.にされてたら、なんか複雑な気持ちになります」

   これに島崎さんは、

「分かるぅー!!! それより歌番組とかでもわざとズラして歌われたりとかするとあぁ普通のCD音源のままのリズムで聴きたかったと思ってしまう」

と共感を示した。

   このやり取りをまとめサイトなどが次々拡散、ネット上で

「いやでもこれは同意」
「これじゃない感あるよね」
「ライブなのにCD通りじゃつまらんわ」
「CD音源が好きなら、それだけ聞いてりゃいい」

など賛否両論、活発に意見が交わされている。

   一般的に、最も接する機会の多い音源はCDなどの記憶媒体へレコーディングされたものだろう。テレビCMや番組主題歌の形だけでなく、携帯音楽プレーヤーやスマートフォンの普及も進み、より多くの時間触れられるようになった。

   レコーディング作業でピッチの揺れやリズムの乱れ、ノイズなどが修正されるため、CD音源は非常に整ったものとなる。最近では録音から編集までをすべてデジタル技術で行うDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)も発達し、より短い時間でより細かな補正が出来るようになった。

   一方、ライブや歌番組の場合、歌手の息遣いや観客の合いの手、拍手などその時々の状況によって未加工の音が入り混じる。さらに歌手は体調や楽曲間のバランスなどを考え、リズムを調節したり、キーを上下させたりして曲をアレンジする。

   だが、ネット上では、ライブなどでCD音源に近い声を出す歌手を「喉(口)からCD音源」と賞賛する向きもある。ライブでCDと同じものを聴きたいという欲求は大きいようだ。

キムタク、聖子も「アレンジ」好き

   実際、多くの歌手がライブや歌番組のパフォーマンスとCD音源で歌い方を変えている。

   「SMAP」の木村拓哉さん(42)が歌番組やライブで見せる独自のアレンジは度々話題に上る。

   歌手の松田聖子さん(53)も代表曲「あなたに逢いたくて~Missing You~」を歌う際、しばしばキーを下げたり、サビの一部分でわざとタメを作ったりする。

   それらを歌手特有のアレンジや個性と捉えて支持するファンもいる一方、「CD音源と違う」といった不満は根強い。

   しかし、発声のプロは少々違った見方をしているようだ。

   音楽プロデューサーで東京・五反田のボイストレーニングスクール「ワンズウィルミュージックスクール」代表の中山雅生さんが若い歌手の歌唱法について興味深い指摘をしている。

   12年2月4日、同スクールのブログで「節回し(しゃくり)が全く出来ていない、というかやっていない」「歌の入りから語尾までまっすぐ歌っている」と苦言を呈し、「人は普通に歌えば節(しゃくり)が入りますし、語尾は揺れて音程も下がっていくものなのです。鍵盤楽器のように入りも語尾もまっすぐな歌はどう考えてもおかしいと思います」と語っている。

   そして、DAWの発達で音程や節回しを直し過ぎる音楽制作の現状に触れ、「(歌唱法が変わった理由は)最近の音楽業界が作っているCDに問題があるのでは? と思えてなりません」と分析した。