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アシアナ機事故、「人為的ミス」が有力なのに なぜパイロットの証言一切出てこないのか

   アシアナ航空機が広島空港(広島県三原市)で着陸に失敗し乗員乗客25人が負傷した事故は、何らかの理由で着陸直前に高度が下がりすぎたことが原因だとの見方が有力になってきた。

   そうなると操縦時の人為的ミス(ヒューマンエラー)の可能性も浮上し、今後の事故調査の焦点のひとつは機長や副操縦士の証言だ。だが、現時点ではパイロットに関する情報はほとんど明らかになっていない。

  • 「アシアナ航空のウェブサイトでは簡単な謝罪文が掲載されているだけで、事故についてはほとんど説明されていない」
    「アシアナ航空のウェブサイトでは簡単な謝罪文が掲載されているだけで、事故についてはほとんど説明されていない」
  • 「アシアナ航空のウェブサイトでは簡単な謝罪文が掲載されているだけで、事故についてはほとんど説明されていない」

機長の総飛行時間は8233時間で「ベテラン級」

   事故を起こしたアシアナ航空のOZ162便(エアバスA320型機)2015年4月14日20時過ぎ、滑走路を外れて芝生の上で停止した。滑走路の325メートルほど手前にある着陸誘導用の無線設備のアンテナが多数破損した。通常、滑走路手前300メートルであれば高度は30メートル程度だが、アンテナの高さは6.4メートル。通常の4分の1程度の高度しかなかったことになる。加えて、事故当時は急激に視界が悪化したり気流が変化したりした可能性も指摘されており、手動で着陸する際に何らかの判断を誤った可能性がある。

   だが、肝心の機長や副操縦士に関する情報は、ほとんど発表されていない。韓国メディアによると、機長の総飛行時間は8233時間、副操縦士は1583時間。SBSテレビは機長について「ベテラン級」と報じている。アシアナ航空の山村明好・安全担当副社長は4月16日午後の会見で、事故当時は着陸できる程度の視界はあったものの、進入角度が正常ではなかったとの見方を示した。パイロットについては、事故当時は韓国人の機長が操縦しており、この機長は事故を起こした機種で800時間以上の操縦経験があったことを明かした。広島空港への飛行経験も複数回あった。ただ、会社としての事情聴取はまだ実現しておらず、それ以上の詳細は分かっていない。

韓国メディアは日本の調査団の情報を引用して報じる

   2013年にアシアナ機がサンフランシスコ国際空港で着陸に失敗し乗客3人が死亡した事故も、パイロットの不適切な操縦が原因で起きたと考えられている。この時は、機長や副操縦士が米運輸安全委員会(NTSB)の事情聴取に対して述べた内容が、すでに実名入りで韓国メディアで報じられている。今回の事故では、運輸安全委員会が4月15日にフライトレコーダーとボイスレコーダーを回収。残されていたデータの解析を急ぐとともに、16日には機長と副操縦士に事情を聞いている。米国と同程度に情報公開が行われる可能性はあるのだろうか。

   韓国政府は航空?鉄道事故調査委員会の事故調査官など8人を広島空港に派遣しているが、韓国メディアは引き続き現場の状況を日本側の事故調査官の情報をもとに報じており、韓国側の調査がどのていど有効に行われているかは未知数だ。