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吉野家の「ちょい飲み」急拡大中 居酒屋よりリーズナブルとウケる

   牛丼チェーン店の「吉野家」が新たに始めた、いわゆる「ちょい飲み」サービス、「吉呑み」が好調だ。

   「吉呑み」は、ビールやハイボール、冷酒といったアルコール飲料とおつまみを提供する新たなサービスとして、2013年に一部の店舗でスタートした。2015年4月20日から、本格的に全国展開を開始している。

  • 「吉呑み」の店舗数が拡大している
    「吉呑み」の店舗数が拡大している
  • 「吉呑み」の店舗数が拡大している

「吉呑み」、6月末に360か店へ

   ビジネスマンなどが仕事帰りにちょっと1杯。そんな気軽さがウケて、「ちょい飲み」が人気だ。最近は立ち飲みバーやスタンド居酒屋、ワインバルなどのこじんまりした立ち飲み店が駅近くのあちらこちらに見られるようになった。

   さらには、ファストフード店やファミリーレストランなどでも、「ちょい飲み」を取り入れたメニューを用意するようになっている。牛丼チェーン店の吉野家も、そんな「ちょい飲み」ニーズをうまく取り込んでいる。

   夜に居酒屋メニューも楽しめる「吉呑み」と、客席数が少なく厨房が狭い店舗に展開する「吉呑み」の簡易版サービス、「吉呑みチョイ」を展開。現在、「吉呑み」を展開する店舗は100か店、「吉呑みチョイ」は86か店(いずれも、2015年4月30日時点)にのぼる。

   商業ビルなどに入居する店を中心に拡大し、6月末には「吉呑み」と「吉呑みチョイ」を合わせて、360か店に拡大することを目標にしている。

   そもそも「吉呑み」は、夜間に客足が鈍るビジネス街の店舗で遊休スペースとなっていた2階部分の有効活用が目的。大きな投資の必要がなく、仕事帰りのビジネスマンなどの「ちょい飲み」客が気軽に入れるようにすることで、夜間帯の売り上げ増を狙った。

   吉野家は「吉呑み」の実施店舗とそうでない店舗と比べると、「売り上げや客数で、(実施店のほうが)1.2倍ほど多い」といい、収益面に大きく貢献している。

多くがビジネスマン、1時間くらいの「ちょい飲み」

   「吉呑み」の実施店は、一見すると通常の牛丼チェーン店の吉野家と変わらないが、居酒屋にはつきものの「赤ちょうちん」や看板がさりげなく出ている。

   ゴールデンウイーク前の2015年4月半ば、J‐CASTニュースの記者が実際に「吉呑み」を実施している吉野家市ヶ谷店に、仕事帰りに立ち寄ってみた。

   店内は、20席弱のカウンター席の7割ほどが埋まっていて、1、2品のおつまみとビールで1日の疲れを癒すビジネスマンらしき男性がカウンターでテレビを見ている。

   来店客の年齢層は、若者から60代まで幅広いが、どうやら1人かごく少人数で来店するお客が多い。中には近所らしき人もいたが、お客の多くが「軽く1杯」の、1時間以内くらいの「ちょい飲み」客のようだった。

   メニューは、マグロの刺し身や子持ちシシャモなどの魚類や、メンチカツやフライドポテトなどの揚げ物に枝豆などのおつまみ類と、思ったよりも豊富。とはいえ、オススメはやはり「牛すじの煮込み」と「牛すい」(大阪名物の牛肉スープ)といったボリューム感のある牛肉メニューで、定番の「牛皿」が人気という。

   価格は300~350円が中心で、100円、200円の品も少なくない。大勢でつまむには少ないが、一人で飲むにはちょうどよい量。酒類も生ビールや焼酎、ハイボールなどが300~400円程度なので、1000円前後で楽しめる。

   また、「吉呑み」には居酒屋で付きものの「お通し(先付け)」がない。通常、居酒屋であれば、席に着くだけで「お通し」代がとられるが、「吉呑み」にはお通しがないので、「その分、自分の好きなメニューを1品たのんでもらったほうがいい」と話す。