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東京メトロ売店がローソンに変わる コンビニはなぜ「駅ナカ出店」を競うのか

   大手コンビニエンスストアのローソンと東京メトロが提携し、地下鉄駅構内の売店「メトロス」の一部店舗をローソンに転換することになった。

   夏以降から転換を始め、今後2~3年をめどに全140店のうち利用者の多い50店をローソンに転換する。残る90店についても切り替えを検討していく。メトロスを運営する「メトロコマース」が転換後のローソンのフランチャイズオーナーとなる。

  • コンビ二の生き残り競争が厳しさを増す(画像はローソンのホームページ)
    コンビ二の生き残り競争が厳しさを増す(画像はローソンのホームページ)
  • コンビ二の生き残り競争が厳しさを増す(画像はローソンのホームページ)

もう「街ナカ」は飽和状態

   店舗面積は通常のローソンより狭い小型店となるが、おにぎりやサンドイッチ、日用品など通常のローソンの商品を扱うようになる。営業時間は現在のまま引き継ぎ、一部を除いて午前7時~午後10時、日曜や祝日は定休日となる。

   ローソンはこれまでに東京メトロの駅構内にローソンやナチュラルローソンを計10店近く出店し人気を集めている。一方のメトロスは隣接ビルなどへのコンビ二の出店攻勢などに押され、雑誌やたばこの販売が低迷し、立て直しが急務になっていた。ローソンとの提携で弱みだった商品開発や配送ノウハウを強化し、客を呼び戻す考えだ。

   ローソンは既に東急電鉄や西日本鉄道などの「駅ナカ」に出店しており、これからは東京メトロを中心に駅ナカ進出を加速させることになるが、この背景には、「街ナカ」に適地が見当たらなくなったという事情がある。

   セブン-イレブン、ファミリーマートを加えたコンビ二大手3社が市街地での激しい出店競争を繰り広げてきたからだ。既にセブン-イレブンが京急電鉄やJR西日本、JR四国などと、ファミリーマートも京成電鉄やJR九州などと組んでいる。駅ナカ出店で先行されたローソンとしては、9路線で1日平均644万人(2012年度)と圧倒的な利用者数を誇る日本最大の地下鉄である東京メトロとの提携で巻き返したいところだ。

次のターゲットは官公庁や病院

   日本フランチャイズチェーン協会の調べでは、2014年1~12月のコンビニ店舗数は前年比5%増の5万1814店と、業界で「コンビ二市場の飽和状態」の目安とされる5万店を突破している。売上高は全店ベースで3.6%増だが、既存店ベースでは0.8%減と、12か月連続でマイナスを記録しており、新規出店によりなんとか全体の売上高を増やしているという構図が浮かび上がる。

   コンビ二の生き残り競争が厳しさを増すなか、「出店は飽和状態に近い街ナカ店舗から、競合相手がない官公庁や病院に加え、乗降客を独占できる駅ナカへとシフト」(大手)しており、出店競争は第2ラウンドに突入したといえそうだ。