高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
いよいよ大阪都構想の住民投票 地方自治の基本が問われている

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   いよいよ大阪都構想の是非を問う住民投票が5月17日(2015年)に実施される。これが否決されれば、大阪市長の橋下徹氏は政治家を辞めると明言している。もともと橋下市長は政治家志望ではないので、自分の看板政策が否定されれば、あっさり政治家をやめるだろう。

   政治家にはいろいろなタイプがある。対官僚という観点から見ると、官僚に強いタイプと弱いタイプがある。比率でいえば、後者が圧倒的に多い。前者の数がきわめて少なく、しかも単に強面な人が大部分だ。その点、橋下氏は弁護士出身であり、官僚が得意と自負している理詰めで官僚を説得できる希有な政治家である。もし仮にそうした官僚に強い政治家がいなくなるとすれば、かなりもったいない。

  • どうなる大阪都構想の住民投票
    どうなる大阪都構想の住民投票

橋下氏の信任投票の様相も

   住民投票は、大阪都構想という、地方政府(大阪府と大阪市)内での役割分担、行政改革の中身を問うものである。ただし、筆者は必ずしも好ましいとは思わないが、現実問題として住民投票は、橋下氏の信任投票の様相がでている。

   直近に出たマスコミ各紙の世論調査では、反対が賛成をかなり(概ね10ポイント前後)上回っていた。ただ、ここに来て、変化の兆しも出ているようだ。反対派は、自民、民主、共産という固定票をもっているが、政治信条からは「ありえない」組み合わせである。その多数派である反対派が、橋下氏をいじめている構図があきらかになり、賛成派が盛り返しているという向きもある。急速に差を縮めており、投票は五分五分というところではないか。マスコミの調査も、固定電話というサンプルが偏ったものに依存しているので、実際の投票は、当日の天気などで投票率がどうなるか、マスコミの電話調査では漏れが大きいとみられる若者の投票がどうなるかにも、左右されるだろう。

   投票は、「人物で見て決める」という人が多いのは事実である。ただし、都市経営の政策としてみた場合、基礎的自治体の適正規模をどう見るかという問題である。そして、基礎的自治体ではカバーできない広域行政は、大阪府に委ねるという、地方自治の基本が問われているのだ。

基礎的自治体の適正規模は、人口30~50万人程度

   日本で初めて基礎的自治体の適正規模を具体的に実証しようとしたのは、実は関西の学者である橋本徹・元関西学院大学教授だ。偶然にも、現大阪市長の橋下徹氏と同音同名であるが、橋本先生は1996年に亡くなられている。筆者のような世代にとっては、財政学の教科書を書いた大家として有名である。

   関西出身の学者では、橋本先生の門下生が多く、有益な政策提言を行っている。橋本先生以降、多くの実証研究が出ているが、基礎的自治体の適正規模は、人口30~50万人程度というものが多い。大阪市の人口270万人は、どのような研究でも「過大」である。こうした実証研究を知っていれば、大阪都構想の方向には反対できない。

   この意味では、人口50万以上の都市に権限を付与して奨励する政令都市制度が、大都市制度として問題があるわけだ。ただし、実際に権限を持った政令都市市長から、自らの権限を手放そうという人がいるはずない。ところが、橋下氏は、市長の権限を捨てるから市長になったと公言しており、その意味で孤軍奮闘である。

   大阪市の周りに群がっている既得権者は、市が過大で何が悪いのかと、大阪都構想に反対だろう。筆者のように大阪の住民ではない学者からみると、制度が悪いと組織が長期的に腐るので、大阪市がそうならないことを願うばかりである。

   基礎的自治体が過大になると、行政のいろいろな分野でひずみがでる。大阪市のバランスシートをみて、大阪市所有の公有財産が多く、市域面積の27%を占めているという事実には驚いた。これがどれほど活用されているかどうか、一つのチェックポイントである。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)、「図解ピケティ入門」(あさ出版)など。


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