CO2削減、政府目標固まる 1990年比で18%減、ちょっと物足りない?

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   2030年の温室効果ガス排出量について、2013年比で26.0%削減するとする政府の目標が固まった。政府・与党内の承認手続きを経て、2015年6月にドイツである主要7カ国首脳会議(G7サミット)で安倍晋三首相が正式表明する。さらに、新たな温暖化対策の国際的な合意を目指して年末にパリで開く第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)につなげる方針だ。

   原発や再生可能エネルギーなどの電源構成を事前に決めた上で、森林の二酸化炭素(CO2)吸収分を上積みするなど、政府は「裏付けのある実現可能な目標」と胸を張る。ただ、京都議定書の基準年の1990年比の削減率は10%台にとどまり、既に目標を公表した米欧と比べると物足りなさは否めないようだ。

  • 国際的にどのように評価されるか
    国際的にどのように評価されるか

経産省のシナリオに沿う

   削減の内訳は、総発電量に占める電源ごとの割合(電源構成)の見直しで21.9%、温室効果が高い代替フロン類を減らす対策で1.5%、森林などによるCO2吸収増加分2.6%。部門別では、業務・オフィス39.7%、家庭39.2%、運輸27.5%の削減を見込む一方、国内排出量の30%強を占める産業部門については、産業界の自主行動計画に基づき、6.5%減にとどめた。

   電源構成というのは、火力発電や再生可能エネルギー、そして原発の比率のこと。政府は先に、原発20~22%、再生可能エネルギー22~24%などとする方針を決定済みで、停止している原発を再稼働させるという経済産業省のシナリオに沿って決まったのが、今回のCO2削減目標なのだ。

   では、今回の目標全体の実行可能性はどうだろうか。目標数値は、2030年度に電力やガソリン消費などの国内のすべてのエネルギー消費を「2013年度比で13%効率化できる」とした経産省の有識者委員会の見通しを前提にしている。より細かく見ると、業務・オフィスや家庭部門での削減は、電気自動車など次世代車の普及率を50%(現状3%)に引き上げ、ほぼ全ての家庭用照明をLED化する必要があり、ハードルは相当高い。また、産業界の自主行動計画は、鉄鋼業界は製鉄所の溶鉱炉の高効率化などで900万トン分のCO2削減目標を掲げるが、うち260万トンは「革新的技術の導入」によるとしており、目論見の通りに技術開発が進まなければ目標見直しもあり得るというから、心もとない。

   電力にも難問が山積する。原発の構成比20~22%とするためには40年を過ぎた老朽原発の延命や新たな原発の設置が不可欠だが、どこまで実現するか疑問視する声は強い。原発停止と電力自由化で石炭火力発電所の新設計画が相次いでいることに関しても、石炭火力は発電コストが低い代わりに天然ガス火力の約2倍のCO2を排出するだけに、原発を抱える電力大手と、火力発電中心の新電力の利害が激しくぶつかり、電力業界としてCO2削減目標をどう調整していくか、容易には見通せない状況だ。

「カラクリ」指摘の恐れ

   削減目標の出発点になる「基準年」も国際的に火種になる恐れがある。日本は従来の政府目標で2005年比を使ってきたが、今回の目標は2013年比に改めた。「福島第1原発事故でエネルギー事情が変化したので、その後を基準にするのが適当」(経済産業省筋)との判断だ。

   実は、2013年の日本の排出量は過去2番目に多く、京都議定書の基準年である1990年比で2013年は10.8%も排出量が増えている。排出量の多かった年を基準にすれば、削減目標幅は当然、大きく見えることになる。米欧の目標は2013年比では日本より低い数値になるという「カラクリ」も指摘される。

   米国の目標「2025年に2005年比26~28%減」は2013年比では「19~21%減」に、欧州連合(EU)の「2030年に1990年比40%以上減」は2013年比で「24%以上減」になり、日本の目標の方が高くなるのだ。ちなみに、米欧は趨勢としてCO2排出が減少傾向にあり、EUの2013年の排出量は1990年比で20%以上減らしている。

   日本の今回の目標は1990年比では18%削減にしかならないから、日本と米欧のどちらの目標が意欲的かは、言うまでもないだろう。

   今回の目標決定について、安倍首相は「諸外国の批判を招かないように」と指示したとされる。基準年を変えてまで仕上げた数字だが、国内のNGOや野党などからも「ご都合主義」「国際的な信用を損なう」などの批判が出ており、国際的にどのように評価されるか、予断を許さない。

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