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「機能性表示食品」第1号はサプリメント 「体への有効性」を具体的に記述

   国の審査を経ず、メーカー側の責任で食品の機能性を表示できる新制度が4月にスタートし、それに基づく「第1号商品」が2015年6月12日に発売された。

   これまで「機能性表示食品」として消費者庁が届出を受理したのは37件。「体のココに効く」と具体的に示された商品パッケージが、今後店頭で増えていきそうだ。

  • キリンが発売する「機能性表示食品」としてのノンアルコールビール
    キリンが発売する「機能性表示食品」としてのノンアルコールビール
  • キリンが発売する「機能性表示食品」としてのノンアルコールビール

記述内容は「肌の水分保持に役立ち」や「脂肪の吸収を抑える」

   これまで商品への機能性表示が許されていたのは、特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品だった。2015年4月1日に「解禁」となった機能性表示食品制度では、トクホのように国の許可申請は不要で、メーカーは商品の機能性の科学的根拠を消費者庁に届ければ足りる。この場合の「根拠」としては、最終製品を用いた臨床試験を実施するか、機能性に関する複数の論文を集めて肯定、否定両方の内容を総合的に判断した「研究レビュー」でもよい。また栄養機能食品のように「申請なし」の機能表示がビタミン、ミネラルに限られるわけではなく、生鮮食品を含め対象範囲は一気に拡大する。

   最初の商品として6月12日に発売されたのは、キューピーのサプリメントだ。消費者庁のウェブサイトには、4番目の届出番号が割り振られている。開示情報を見ると、商品に含まれる「ヒアルロン酸Na」について、「肌の水分保持に役立ち、乾燥を緩和する機能があることが報告されています」との記述があった。実際の商品パッケージ中央に、この内容が記載されている。

   キリンが6月16日に発売するノンアルコールビールは、缶の上部に比較的目立つように「脂肪の吸収を抑える」「糖の吸収をおだやかにする」とアピールしている。さらに製品の特設サイトをオープンし、消費者庁への届出情報をまとめて閲覧できるようにしたり、どうやって脂肪の吸収を抑え糖の吸収をおだやかにするのかを図で説明したりして、消費者に理解を深めてもらおうと工夫をこらしている。

メーカー側の届出のみで表示が許可される

   消費者庁への届出が受理された37件を見ると、サプリメントが多い。機能性に関連する成分はイソフラボン、DHA、ビフィズス菌と今までも耳にしていたものが並ぶ。ただ新制度により、ビフィズス菌なら例えば「腸内フローラを良好にし、便通を改善する」というように、製品に含まれる成分が具体的に体にどう効果的かを明示できるのが従来と大きく変わった点だ。

   表示内容が具体的で分かりやすくなるのは、消費者にとってもメリットだ。半面、「国の審査がない」「メーカー側の届出のみで表示が許可される」ため、トクホに比べると機能性表示のハードルは下がったと言える。「安全性は大丈夫か」と疑問を投げかける消費者団体もある。

   6月11日付の毎日新聞朝刊では、制度の問題点を挙げた。メーカーは機能性の科学的根拠の届出を義務付けられているが、「当初は企業に厳しい要件と思われていたが、受理された商品の中には根拠の薄いものも見られるという」と指摘。消費者庁の公開情報は専門用語が多くて消費者にわかりづらく、また同庁が消費者向けの説明会を開いていない点も明らかにした。

   消費者庁は機能性表示食品の説明資料で、「たくさん摂取すれば、より多くの効果が期待できるというものではありません。過剰な摂取が健康に害を及ぼす場合もあります」と注意を促している。商品の購入と使用の際には、消費者側がこれまで以上に機能の特徴に敏感になる必要がある。