「マッサン」人気でニッカの原酒不足深刻 シングルモルト「余市」8月いっぱいで販売終了、衣替え

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   アサヒグループホールディングス(HD)は、傘下のニッカウヰスキーが製造するウイスキーブランドの「余市」と「宮城峡」の販売を、2015年8月出荷分で終える。

   「余市」といえば、主力の「竹鶴」と並ぶニッカの看板ブランド。3月に放送が終わったNHK連続テレビ小説「マッサン」のモデルとなった、創業者の竹鶴政孝氏がこだわった独特の香ばしさが特長で、ウイスキー愛好家の支持も高いという。

  • シングルモルト「余市」は、もう飲めないのか?(画像は、ニッカウヰスキーのホームページ)
    シングルモルト「余市」は、もう飲めないのか?(画像は、ニッカウヰスキーのホームページ)

主力の「竹鶴」ブランドに生産を集中

   「余市」と「宮城峡」の出荷停止について、ニッカウヰスキーの親会社であるアサヒグループHDは「ウイスキーの製造に使う原酒が足りなくなったことが理由です」という。ただ、「現在の『余市』と『宮城峡』は2015年8月で終売ですが、ブランド名はそのまま残しますし、9月には商品構成を刷新して、新商品を発売する予定です」と説明する。

   現在、ニッカが販売している「余市」と「宮城峡」はシングルモルトウイスキーで、それぞれ余市蒸留所(北海道余市町)と宮城峡蒸留所(仙台市)で生産した原酒だけを使って造られている。長期熟成酒の「10年」「12年」「15年」「20年」(「余市」のみ)のエイジ商品と、若い原酒を使うノンエイジ商品がある。

   その一方で、主力ブランドの「竹鶴」は余市蒸留所と宮城峡蒸留所の原酒を混ぜて造られている。「竹鶴」もまた、2014年の「マッサン」人気を背景に売り上げを伸ばしたことで、原酒が足りなくなっていた。

   このまま原酒不足の状況が続けば、3つのブランドが共倒れになりかねない。同社はすでに、「竹鶴」に生産を集中する方針を打ち出しているが、そこで9月に向けて「余市」と「宮城峡」の品揃えを見直し、品目をしぼることで「竹鶴」にまわす原酒を多く確保できると判断したようだ。

   こうした状況にインターネットには、

「酒は嗜好品だからな。昔から慣れ親しんでる人にはレベルの低下はよくわかりますよ」
「まあ仕方ないね。マッサンも『うん、スモーキーやな』ってこだわってたもんな」

などと残念がる声や、

「どーせブームは一過性だ。いまは10年超の原酒を浪費しないで温存させるってことだよ」
「とにかく、あと5年すればハイボールブームにあわせて増産した原酒が育ってくる」
「新商品... それって、『余市』の中身を変えてしまうってことだろwww」

と、出荷停止や商品構成の見直しに理解を示しながらも、おいしさが損なわれるのではないかと心配する声も寄せられている。

「余市」だけじゃない終売危機?

   アサヒグループHDによると、2015年1~5月のウイスキーの売上高は、「余市」ブランドだけで前年同期と比べて2.7倍も増えた。

   また、日本洋酒酒造組合の調べでは、ウイスキーの出荷量(移出数量)は2008年以降、11年を除き前年を上回る実績で推移。2014年は前年比13.7%増と大きく伸びた。

   ここ数年で出荷量が伸びている要因は、火付け役のハイボール人気と、そこにNHKドラマの「マッサン」人気が加わり、さらには本場のスコットランドを凌ぐおいしさと高く評価され、海外への輸出が急増していることがある。

   ブームに沸くウイスキーだが、その一方で原酒不足は深刻なようだ。

   ウイスキーづくりのもとになる原酒は毎年コツコツと造られ、貯蔵される。原酒は品質を向上させるために、最低でも5~10年は寝かせておく必要があるとされる。なかでも、「余市」や「宮城峡」などの長期熟成酒は10年以上も貯蔵された原酒で造るため、商品として市場に出回るまでには長い時間が必要になる。

   つまり、ウイスキーは売れたからといって、ビールなどの醸造酒のように短期間では増産できないわけだ。ウイスキーの消費量は1980年代がピークで、それ以降、市場は年々縮小していった。そのために原酒づくりも縮小傾向にあったことが、最近のブームに対応しきれない事情だ。

   アサヒグループHDは、「いまは5~10年前に貯蔵していた分(原酒)がない状況です」と話す。

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