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頻発する「とくダネ!」への「取材クレーム」 今度は取材受けた会社が「悪意ある編集」と猛抗議

   情報番組「とくダネ!」(フジテレビ系)の報道姿勢に、またクレームがついた。今度は取材を受けた会社の社長が、「悪意ある編集だ」とブログに長い反論文を掲載している。

   今まで数々の騒動を引き起こしてきた番組だけに、多くのネットユーザーから「またか!」と声が上がった。

  • 社長は真っ向から反論(画像は2015年6月18日の浅井社長ブログ記事から)
    社長は真っ向から反論(画像は2015年6月18日の浅井社長ブログ記事から)
  • 社長は真っ向から反論(画像は2015年6月18日の浅井社長ブログ記事から)

「そんな伝え方フェアじゃない」

   2015年6月17日の放送では「子連れ出勤」を特集、親が子どもを連れて出社できる制度を導入する企業を紹介した。

   取材映像で主に紹介されたのは、2年前から取り組みを始めた「Sow Experience」(東京都目黒区)、それに追随した「R-STORE」(東京都品川区)の2社だ。

   ただ、双方から伝わってくる印象はまさに「正反対」。「R-STORE」を取材した映像では、明らかに制度のデメリットが強調されている。雑音を立ててオフィス内で遊ぶ子供に苛立つ社員や、子供の予想外の行動に慌てふためく母親社員が登場する。ある男性社員は出社後わずか2時間で「集中できない」とカフェに向かった。

   一方、「Sow Experience」の映像では、制度のポジティブな側面が強く押し出されている。子供がオフィスにいれば親も安心でき、仕事のアイデアも生まれるという「好循環」を、社員が次々口にした。

   双方から受けるイメージがあまりに違ったためか、放送後、各種SNSや掲示板で制度の賛否をめぐり激しい議論が起こった。子供を預かる施設が絶対的に足りない現状を踏まえ「子連れ出勤いいなぁ」と羨む人、反対に「公私混同やめてください」と批判する人など、くっきり二分された。

   しかし、話題はテーマそのものから離れ、思わぬ方向に展開する。18日、社内の「混乱ぶり」を伝えられたR-STOREの浅井社長が「拝啓 小倉様(子連れ出勤の件)」と題したブログ記事で、「作為的に作り上げられた映像だ」「悪意ある編集だ」と番組に真っ向から反論したのだ。

   ブログによると、現在のところ子連れ出勤制度のデメリットはなく、子供を嫌がる社員もいないという。さらに、撮影当日も終始社内はなごやかで、子供が多少騒いでも業務にもまったく差し支えなかったと明かす。

   「集中できない」とオフィスを出た男性社員については「シッターの経験もある、相当のこども好き」とし、カフェで仕事をするのは会社で認めており、外出シーンだけを取り上げて「子供がいると集中できない」という雰囲気に仕立て上げられたと猛反発している。

   最後には「迷惑ばっかりかけているようなそんな伝え方フェアじゃない」と苦言を呈し、「放映するなら、きちんとこちらの意図を伝えて欲しい」とクギを刺した。

「またフジテレビ!またとくダネか!」の声

   浅井社長の反論はネット上で素早く拡散され、「子連れ出勤」というテーマ以上に反響を呼んだ。

「こーいう件が続くと企業は取材には応じなくなりますね」
「テレビの取材は受けちゃだめ、っていうところまで来てる」

といった編集方針への批判以外にも、

「またフジテレビ!またとくダネか!」
「フジテレビさん、なんでそのままを写さないで、嘘を作るの?」

と番組やフジテレビへの批判も散見される。

   番組をめぐっては、2月にも似たような騒動が起こっている。「動画投稿」特集で流れた人気YouTuber・マックスむらいさんのインタビュー映像について、むらいさん本人が、数秒を除いてほとんどカットされた、「動画投稿マナー」という取材の本題が一切使われていない、と放送後にツイートしたのだ。

   また、6月16日には「取材目的と違う内容を放送した」として、NPO法人「エコキャップ推進協会」(横浜市)が放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立てを行ったと発表している。