もはやTPP交渉は漂流寸前 最大の障害は「NZ乳製品」ではなかった

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   環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が、ここにきて「漂流」の危機に瀕している。2015年10月19日に迫ったカナダの総選挙を控えるなか、ハーパー首相率いる与党保守党が支持率で野党にリードを許していて、TPP交渉での妥協を難しくしているのが、直接的な原因とされる。

   2015年7月にハワイで開いた閣僚会合での合意見送りでは、ニュージーランドが乳製品の関税を巡って強硬な姿勢を崩さなかったのが大きな原因との報道が溢れたが、実は日本も含め、「自動車の原産地規制」問題が大きなが障害だったことが、ここにきて明らかになり、これにカナダが深くかかわっていることが事態を深刻にしている。

   退任まで約1年半となったオバマ米大統領は、自らの政治的遺産(レガシー)としたいテーマの一つとしてTPPの大筋合意を目指してきた。交渉筋の間では、11月18、19日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議前後が合意のタイムリミットとの見方がある。しかし、2016年11月の大統領選まで1年を切れば決断は困難との見方も強い。9月中に閣僚会合が開かれる見通しになってきたが、ここで大筋合意に漕ぎ着けることができるかが、大きな節目と見られている。

   その交渉の中身で大きなポイントとして注目度が急上昇しているのが自動車の原産地規制問題だ。

  • 自動車の原産地規制問題がTPP交渉にのしかかる
    自動車の原産地規制問題がTPP交渉にのしかかる

10月のカナダ総選挙までの合意は困難?

   TPPは域内で作った自動車などの工業品の関税をなくしたり、低くしたりして貿易を活発化させようというのが大きな眼目だ。その際、製品は「域内」の国で作ったというのが前提になるが、自動車のように国際的な分業が進み、世界中から部品を調達していると、最終的に製品にしている国では組み立てただけといったことになりかねない。そこで、TPP域内で作った部品をどのぐらい使った自動車を優遇の対象にするかを決める「原産地規制」が問題になる。

   この域内での部品調達率を高くすれば、部品メーカーを抱える国は自国産業の育成にプラスになる。実際、米国、カナダ、メキシコで作る北米自由貿易協定(NAFTA)は、域内調達率を62.5%以上としており、カナダやメキシコはTPPでもNAFTA並みの高い比率を求めている。

   これに対し、タイや中国などTPPに参加していない国からの部品調達も多い日本は40%程度を要求してきた。実際に日本が過去に結んだ各国との個別の自由貿易協定(FTA)などでは概ね40%としている。日本と同様に、不参加国から安い部品の調達を望む米国は日本側に歩み寄りを示しているという。

   この比率が高いほど、その貿易圏は排他的といえ、逆に低すぎれば貿易圏としての意味が薄れるという性格がある。「例えばタイのように自動車部品工業がある程度盛んなTPP非参加国を将来的に取り込むためには、『適度なレベル』が望ましい」(政府関係筋)というのが日本のスタンスで、数字として、日米は50%程度を想定しているといわれる。

   だが、カナダでは「日米が想定する水準では国内自動車業界の打撃になり、選挙前の合意は無理」(経済産業省関係者)との見方が出てきた。ましてや、選挙で政権交代が起きれば、選挙後の合意はさらに遠のくは確実だ。実際、9月9~11日、日米加にメキシコを交えた4か国が自動車分野の協議をしたが、溝を埋められなかった。

7月は、ある会社を守るために決裂」という噂

   ただ、日本の交渉姿勢も、各社ごとに異なる日系メーカーの部品調達率に影響されているとの指摘がある。トヨタ自動車など国内の部品調達比率が高いメーカーは、仮にNAFTA並みに厳しい規制も楽々クリアでき、関税引き下げ・撤廃の恩恵を受けられるが、苦しいのが日産自動車。ルノーとの提携を機に、「ケーレツ破壊」を断行して海外に調達先を多角化したことから、原産地規制が厳しくなると「日本製」といえなくなって関税に関する恩恵を受けられなくなる恐れがあるのだ。マツダも、日系の中では日産に次いで国際的な調達が多いと言われる。このため、7月の閣僚会合の後、「実は(日本は)日産を守るために決裂した側面がある」と一部でささやかれた。

   日本のメディアは、7月の時点では自動車の原産地規制問題はワン・オブ・ゼムとして触れる程度で、乳製品でゴネたニュージーランドを批判する論調が目立ったが、さすがに9月の4か国協議と前後して、ようやく自動車を正面から取り上げる報道が出てきた。

   TPPの交渉では、自動車や乳製品に加え、知的財産にからむ医薬品の開発データ保護期間などの難題も残っている。日本としては4カ国が今回の自動車分野の協議で合意し、これをテコに他の難航分野の交渉促進につなげたい考えだったが、今のところ狙いは外れた形だ。

   カナダの総選挙の行方をにらみ、交渉環境は厳しさを増している。タイムリミットが近付いて、「最悪、合意できずそのまま漂流し、次の米政権誕生まで棚上げ、あるいはそのまま消滅の可能性も否定できない」(関係筋)との悲観論も聞こえ始めた。

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