2024年 3月 28日 (木)

石油元売り業界、「3グループ」集約へ最終段階 「長期苦境」打開には、なお道半ば

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   2015年に入り、石油業界が風雲急を告げている。「出光興産+昭和シェル石油」の統合合意の発表に続き、最大手のJXホールディングスが3位の東燃ゼネラル石油との統合検討を認めるなど、業界再編が一気に加速する雲行きだ。

   2014年来の原油価格の急低下が石油元売り各社の経営を直撃していることが背景にある。石油の備蓄が義務付けられていることもあって、原油価格の高い時期に買った在庫の評価損が膨らみ、大手3社の2015年9月中間連結決算は、純損益がすべて赤字だ。足元でもガソリン価格が5年ぶりの安値をつけ、消費者にはありがたいが、売る方には厳しい状況が続く。

  • ガソリン車離れと原油安で苦境が続く石油業界
    ガソリン車離れと原油安で苦境が続く石油業界
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原油安がもたらした「異常事態」

「リーマン・ショックを超える異常事態なんですよ」

ある石油元売り幹部はこうこぼす。石油連盟が石油精製・元売り15社単体決算を合算したところ、リーマン・ショックに襲われた2008年度の経常損益は2992億円の赤字。これに対し、2014年度の経常赤字は6417億円と2倍以上に膨らんだ。その間(2009~2013年度)の5年間は経常黒字で、2011年度の経常黒字額はこの期間で最高の6803億円に達した。

   そこからの急降下だけに、「異常事態」という言葉も大げさではない。2008年度と2014年度の決算に影響したのは、いずれも原油在庫の評価損。それぞれ大手5社で計8000億円近い規模となった。原油価格は上がる時もあれば下がる時もあるが、米国でのシェールガス発掘が本格化する一方、中国など新興国の成長伸び悩みという需給両面の悪材料を考えれば、この先、原油価格が急上昇するとは予想しがたいのが現状だ。

   在庫評価損を抱える石油元売りの苦境は2015年度に入っても続いている。冒頭のように、中間決算時期が9月の大手3社(JX、出光、コスモエネルギーホールディングス)の純損益はすべて赤字になった。JXの純損失は449億円。統合再編で2010年4月にJXが発足して以降、中間決算としては初の赤字。コスモの赤字が174億円、出光は65億円。出光の中間決算での純損失は2006年の株式上場以来初めて。在庫評価損は3社合計で約1700億円に上った。

   また、通期が12月期決算の大手2社(東燃ゼネラル、昭和シェル)の2015年1~9月期は、東燃ゼネラルが辛うじて純損益で15億円の黒字を確保したものの、昭和シェルは74億円の赤字だった。

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