歯止めのきかない原油価格の下落 現実味増してきた産油国「通貨危機」

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   世界的に原油安が続く中、産油国でつくる石油輸出国機構(OPEC)は2015年12月4日にウィーンの本部で開いた総会で減産を見送った。

   この結果、市場は供給過剰の長期化が避けられないとみて、原油相場は下げ足を加速している。OPECの影響力低下を改めて印象づけた形だ。原油を輸入に頼る日本には直接的には恩恵があるが、世界経済の波乱要因として、単純に喜んでばかりはいられないようだ。

  • シェア維持のために減産できず、結果として価格の下落が続く原油
    シェア維持のために減産できず、結果として価格の下落が続く原油

OPEC減産合意できず、1バレル=20ドル台の予測も

   OPEC加盟国の首脳が一堂に会し、7時間に及んだ総会の後、バドリ事務局長は「現時点で生産に関する数字を公表することはできない」と述べた。声明文には生産目標に関する言及はなく「今後数カ月間の市場動向を注視する」と盛り込まれただけ。

   原油価格下落で財政危機に陥っているベネズエラなどが価格上昇のため減産を訴えたが、シェアを奪われたくないサウジアラビアを中心にアラブ諸国の多くが減産に反対したとされる。これは、従来の生産目標である日量3000万バレルを棚上げし、3170万バレル(11月実績)という現状を追認したことになる。

   総会を受け、4日の市場では国際指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の先物相場が1バレル=39.97ドルと節目の40ドルを割り込んだ。その後も続落し、14日には6年10カ月ぶりに34ドル台をつけた。

   核協議の合意に伴い、イランへの経済制裁が来年春にも解除されれば、イランの生産量はさらに増える見通しだ。米国などのシェールオイル生産は頭打ちになってきたとはいえ、OPECが期待するほどの減産とはなっていない。

   一方、米国の経済が巡航速度になってきたのを除くと、欧州が病み上がりで、新興国も中国をはじめ景気減速が鮮明で、需要の低迷が続く見通しだ。このため、原油相場は「底値が見えない」(市場関係者)状況で、20ドル台まで下げるとの予測も出始めている。

   実は、OPEC総会前、サウジはOPECに非加盟のロシアに生産削減での協調を打診したとされる。サウジとしては、イエメンやシリアに軍事介入し、国内の過激派掃討など王制維持のためのコストも嵩み、原油価格が少しでも上がってほしい。しかし、OPECが減産すると、ロシアなどにシェアを奪われるという過去のトラウマがある。ロシアも、ウクライナやシリアへの介入に伴う軍事費の負担がのしかかる。サウジは、ロシアと協調して一定の減産に踏み切り、原油価格上昇を図ることを模索したが、ロシアと折り合わず、減産は幻に終わったという。

今はいいが、巡り巡って日本経済への打撃も

   日本など石油輸入国にとって価格下落はありがたい面が多い。すでに国内のガソリン平均小売価格は12月2日発表で1リットル=130円を割り込み、5年9カ月ぶりの安値水準だ。北海道などで灯油の価格は1年前に比べ約3割安くなっている。原油相場の下落で電気やガス料金の引き下げも続き、12月の標準家庭の電気料金は東京電力管内で7518円と1年で870円も下がるなど、家計や企業への恩恵は大きい。石油元売りや商社などの収益にはマイナスだが、ユーザーである化学や運輸などの業界の収益押し上げも期待できる。

   しかし、相場低迷の産油国への影響は注意して見て行く必要がある。

   例えば、原油など資源安でマイナス成長が続くブラジルは、通貨レアルがこのところ1ドル=4.2レアル台を付けるなど最安値水準にある。政権批判が大統領の弾劾審議入りを招いて政情不安も高まり、それがさらに経済を委縮させる悪循環に陥っている。財政的に体力があるとされるサウジにしても、同国通貨庁が大株主になっている日本の上場企業が、9月末時点で30社と半年で半減するなど、財政余力の低下がささやかれる。

   これは、予想される米国の利上げとも相まって、資源国の通貨危機を招く懸念が広がっている。原油相場のさらなる下落の可能性が取りざたされるなかで、そうした不安が現実味を増していけば、巡り巡って日本経済への打撃になる。「原油安」への油断は禁物だ。

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