2024年 4月 23日 (火)

「開けろやコラア!」コンクリ片で窓ガラスを叩き割る 京都府警「強行突入」映像に「どっちが犯人?」の声

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   「開けろやコラア!」「待って!」「何で待たなアカンねん、オラア!!」――。2016年2月16日早朝、東京・新宿区の住宅街に怒号が響いた。京都府警の捜査員が窓ガラスをコンクリートブロックで叩き割り、「霊感商法」で詐欺を続けていた容疑者の自宅マンションに突入したのだ。

   容疑者は確保されたが、近隣住民から「不審な人物が窓ガラスを割ってアパートに侵入している」という通報を受けた地元警察が駆け付けるなど、現場は騒然となった。一部始終はテレビでも放送され、「強引な突入方法では」との声もネットでは広がっているが、専門家の間では完全に賛否が分かれる。

  • 京都府警の「開けろやコラア!」にネットも戸惑い(画像はイメージです)
    京都府警の「開けろやコラア!」にネットも戸惑い(画像はイメージです)
  • 京都府警の「開けろやコラア!」にネットも戸惑い(画像はイメージです)

霊感商法の詐欺容疑者の逮捕劇だった

   16日朝6時45分。容疑者の男のマンションを訪れた京都府警の捜査員は、玄関のドアの前で「おはよう」「開けてくれ」などと丁寧に声をかけた。だが、男がドアを開けるのを拒み続けたため、捜査員は「開けろやコラア!」「うるさいやないやろお前エ!!」と声を荒げた。

   しかし、男は「開けるから待って」を繰り返すばかり。そこで捜査員は男の部屋がある2階のベランダへよじ登り、窓ガラス越しに再び「開けろや!」と怒鳴りつけた。それでも応じる様子を見せない男に対し、捜査員が両手を抱えるように持ってきたのは巨大な「コンクリートブロック」だった。

   捜査員はブロックを勢いよく窓ガラスに叩きつけて穴を開け、割れ残ったガラスを蹴り破って室内へと踏み込んだ。このとき時刻は6時52分。玄関で最初に声をかけてから約7分後のことで、あっという間の突入劇だった。

   今回詐欺などの疑いで逮捕されたのは、東京都文京区の開運グッズ販売会社「幸せ工房」の元社員で、自称僧侶の男ら3人。同社が販売していた「開運ネックレス」の購入者に対し、「悪霊が付いているため、除霊が必要」などと電話をかけ、祈祷料として現金を要求していた。振込は5500件以上確認され、被害総額は2億5000万円に上るとみられる。

   京都府警は、J-CASTニュースの取材に対し、「14年以前から京都市内など管轄内での被害相談を複数受けていたため、詐欺グループの検挙に向けて捜査を進めていた。事前に警察庁など関係各所に連絡を入れた上で、今回の逮捕劇に至った」としている。

警官は声を荒げても、名誉棄損に当たらない教育を受けている

   現場では、最初から複数の報道カメラが入っており、今回の「強行突入」は16日夜から17日にかけてニュース番組などで幾度も紹介された。その様子を確認したネットユーザーからは、

「ベランダで『開けろやアホんだらああああ』って怒鳴りながらガラス扉蹴飛ばしたりブロック投げつけてるの犯人かと思ったら捜査員だった」
「早朝に開けろ開けろて叫んで窓ガラス割ってなんでもやりたい放題やね」
「なんか見覚えのある光景だなー、と考えてたら豊田商事事件だった」

などと、捜査員の口調や行動に驚きを表す声が数多く上がっている。

   16年2月17日放送の情報番組「ひるおび!」(TBS系)でも、今回の件について「強行突入の判断は正しかったのか」という問題が取り上げられた。番組コメンテーターの八代英輝弁護士は、「かなり問題のある捜査手段ですよ」と指摘。「近隣の方が不安になって通報するなど、平穏を害する問題行動だった」「そこまで緊急性のあるケースだったとは思えない」として、警察だから何をやっても許されるというわけではないと強く批判した。

   しかし、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏はJ-CASTニュースの取材に、「問題がある行動とは全く思えません」と語る。

「今回のような突入は、全く珍しいことではありません。強引にでも突入しないと、容疑者に証拠を隠滅されてしまう可能性が高いですから。ただ、私から言わせれば今回のケースは『準備不足』でしたね。コンクリートで窓を割るのはもちろん、通常は大家さんや管理会社にガサ状(編注・捜索差押許可状のこと)を見せ、マスターキーを借りて鍵を開けますから」

   今回の捜査手段を批判した八代弁護士の意見について小川氏は、「そんな悠長なことを言っていたら、誰も捕まえられませんよ」。その上で、現場の判断に外野が口を出すものではないとして、「是非を問われるような行動とは思えません」と結論付けた。

   また、捜査員の強い口調にネットで戸惑いが広がっていることについて、元千葉県警察刑事課長で犯罪評論家の田野重徳氏は「(警察官は)声を荒げることがあっても、名誉棄損や侮辱罪に当たらないよう日頃から教育を受けている」と説明した。

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