消費増税「先送り」1面トップで報じた読売新聞 政府は否定しても広がる「疑心暗鬼」

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   2017年4月に予定されている消費税率10%への引き上げをめぐり、「先送り論」が再び勢いを増すかもしれない。安倍政権との距離が近いとされる読売新聞が16年3月18日朝刊の1面トップ(東京14版)で「消費増税先送り検討 首相 経済減速に配慮」と踏み込んで報じたからだ。

   表向きにはこの報道を否定する安倍政権内でも、税率を上げた結果、税収が下がるような政策は「絶対取るべきではないというのは当然のこと」(菅義偉官房長官)といった慎重論は出ている。社論に沿った記事を同時多発的に掲載していく傾向の強い読売の記事だけに、今後、税率引き上げの先送りを求める論調を強める号砲的な記事との見方も出ている。

  • 安倍首相は「税率引き上げの先送り」の検討を始めたのか
    安倍首相は「税率引き上げの先送り」の検討を始めたのか

インタビュー見出しで「消費増税『間違った方向』」

   政府は3月16日、国内外の有識者と意見交換する「国際金融経済分析会合」を開き、ノーベル経済学賞を受賞したことでも知られるコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授が「今は増税のタイミングではない」として、引き上げの先送りを提言していた。

   政府は国会答弁で、増税先送りの条件として「リーマンショックや大震災」を挙げていたが、2月末には「世界経済の大幅な収縮」が加わった。そんな中でスティグリッツ氏を招いて会合が開かれたことから、増税先送りの「地ならし」論が急速に浮上していた。

   3月18日の読売は、まさに「同時多発的」に「先送り論」を展開した。2面にスティグリッツ氏のインタビューを「消費増税『間違った方向』」という見出しで掲載。3面では「解散 選択肢広げる」と題して

「夏の参院選での争点化を避けるとともに、衆院解散の選択肢を広げて野党に揺さぶりをかける狙いもある」

と背景を解説。4面の政治面では「『財政規律派』の説得課題」という見出しで、麻生太郎財務相や稲田朋美・自民党政調会長らが「先送り」のハードルになっていることを伝えた。

2015年の財務省の「消費税還付案」を徹底批判した読売

   読売新聞は15年9月には、軽減税率の代わりに消費税引き上げ分を還付するとした財務省案を報じ、社会面や政治面などあらゆる紙面で軽減税率の必要性を強調しながら財務省案を非難。永田町では、財務省案の「詰め」が甘かったのに加えて、読売のキャンペーンが「お蔵入り」の原因になったとの見方がもっぱらだ。

   菅官房長官は3月18日午前の記者会見で

「消費税税率の先送りの検討を開始したという事実はない。国会で連日答弁しているように、リーマンショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り実施していき、そのことによって経済の好循環の状況を作り出したいということには変わりない」

と述べ、現時点では読売記事の内容を否定している。

   しかし、消費税10%への増税は一度「先送り」の実績があるだけに、今回の読売報道で疑心暗鬼が大きく広がったことは間違いない。

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