「親安倍」メディア間の「違い」にみる 「消費増税延期」の本当の評判

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   2017年4月の予定だった消費税率の8%から10%への引き上げ延期が、事実上決まった。安倍晋三首相が通常国会閉会日の16年6月1日の記者会見で、19年10月へ2年半先送りする方針を表明。民進党の岡田克也代表が先の党首討論で2年先送りを提案したほか、野党各党も実施延期をこぞって打ち出し、そもそも消費税廃止を訴える共産党を含め、「2017年に消費税を引き上げない」ということで主要政党が一致する異例の事態だ。

   その中で、参院選で「信を問う」という安倍政権と野党の論争は、どう展開するのか。大手紙の論調の違いから、有権者の判断材料を探る。

  • 大手各紙の見方は…?(写真は5月29日付各紙)
    大手各紙の見方は…?(写真は5月29日付各紙)

世界経済認識とアベノミクスの成果への評価

   まず、政策判断の前提である国内と世界の経済状況をどうみるかが問題になる。それはアベノミクスの評価と、世界的にはリーマンショック(2008年)前と比較してどうか、ということになる。

   各紙はこの間、社説(「産経」は「主張」)で何回も消費税問題を論じているが、安倍首相の「世界経済の新たな危機に備える」という世界経済認識と、「アベノミクスは成果を上げている」という主張に、概して懐疑的だ。

   首相の主張をおさらいしておくと、そもそも1年7か月前、消費税率の10%への引き上げを「再び延期することはない」と断言して衆院を解散、大勝したのが出発点だった。今回、これを覆すにあたって、まず5月27、28日の主要7か国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)でリーマン・ショック時と似ているとする資料を配り、危機感を強調したが、海外メディアなどで酷評されたこともあって、6月1日の会見で「現時点でリーマン・ショック級の事態は発生していない」とトーンを落とし、代わりに「世界経済の新たな危機を回避するため、政策総動員で対応するとサミットで合意した」と述べ、議長国として責任を果たすために消費税引き上げの先送りを決断したと説明――という流れだ。

   この首相の「新しい判断」について、「朝日」は「アベノミクスは順調だ、だが新興国を中心に海外経済が不安だから増税できない、そう言いたいのだろう。これに対し、独英両国などから異論が出たのは、客観的な経済データを見れば当然のことだ。......海外経済の不透明感を増税延期の理由にするのは、新興国への責任転嫁に等しい」(5月31日付)とバッサリ。「毎日」も「増税できないほど状況がよくないというのであれば、まずはアベノミクスの失敗を率直に認めるべきだ。海外要因を挙げて正当化しようというのでは、議論が逆立ちしている」(同日付)と批判。日経も「米国が再利上げを視野に入れ、中国経済の失速懸念が後退したいま、この(世界経済の危機回避という)説明には無理がある。......消費増税の延期に加え、大型の補正予算案を編成し景気対策を講じるべきだとの声がある。いまはそんな政策対応が必要な経済状況ではない」(6月1日付)と厳しく断じている。

日経は「潜在成長率を引き上げる構造改革」の必要性も強調

   これに対して、基本的に安倍政権を支持する「読売」も、さすがに「リーマン・ショックを引き合いに出すことには違和感がある」(5月31日付)、同じく「産経」は「首相の認識は各国首脳の共通理解とはならなかった。国内にも異論は多い」(同)と指摘した。

   ところが、アベノミクスと首相の延期決断への評価はというと、各紙の立場は分かれる。「朝日」「毎日」「日経」は、「首相がいまなすべきは......アベノミクスの限界と弊害を直視し、軌道修正すること。そして、一体改革という公約を守り、国民の将来不安を減らしていくことだ」(「朝日」5月31日付)、「社会保障の財源が失われてしまうことで、社会や経済の将来の不安は拡大してしまう。......借金を将来の世代につけ回ししないための枠組みを崩壊させてはならない」(「毎日」6月2日付)、「再び延期するのは極めて残念だ。......見逃せないのは、増税の再延期で巨額の財政赤字を放置し、子や孫の世代にツケを回すことだ」(「日経」1日付)など、アベノミクスを失敗と断じないまでも、限界が明らかになってきているとの基本認識と、税と社会保障の一体改革の枠組みが崩れてしまうことへの危惧で共通する。「日経」は特に、「潜在成長率を引き上げる構造改革」の必要性も強調している。

   一方の「読売」「産経」は、「消費税を財源に社会保障を支える『税と社会保障の一体改革』は堅持しなければならない」(「読売」2日付)、「財政再建に後ろ向きな姿勢をみせれば財政への信任は保てまい」(「産経」2日付)と、財政再建の重要性は共通する。ただし、結論として、増税先送り自体については「アベノミクスは雇用改善などに効果を上げたが、消費のもたつきなどの課題も残る。脱デフレを確実に果たすため、消費増税の先送りはやむを得ない選択だ」(「読売」同)、「デフレ脱却を実現するうえで、景気回復が遅れる中での増税実施は困難だと考えた......その判断自体は現実的かつ妥当なものといえよう」(「産経」同)と、首相の判断への支持を明確にしている。 なお、「産経」がやや辛口に「増税できる経済環境を作るという約束を果たせなかったことを首相が認め、その原因を明確に説明する」(5月31日付)ことを求めたのに対し、「読売」は首相の政策運営の正否には触れず、同じ「親安倍」でもトーンに違いが出ている。

参院選の結果に拘わらず、増税が先送りになるのは確定的

   このほか、「朝日」が「議論なき決定の異様さ」(6月1日付)の見出しで「政府与党内の事前の検討も、国会の議論もないまま、首相の一存で押し切っていいものではない」と主張し、「毎日」も「首相方針は与党内で十分な議論を経ないまま、いきなり示された」(5月31日付)と、今回の決定過程にも疑問を呈したのが目立った。 安倍政権の方針に対して、各紙の評価が割れたが、野党は「アベノミクスの失敗」を指摘しつつ、増税延期を主張しており、参院選の結果に拘わらず、増税が先送りになるのは確定的だ。そうであれば、財政再建や社会保障の充実をいかに進めるか、政策の洗い直しが政界全体に問われることになる。

   1000兆円を超える世界一の借金を抱える日本。参院選で、与野党がどのような論争を展開するか注目される。

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