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米最悪50人死亡の銃乱射テロ IS「同性愛」処刑とのつながり

   米国フロリダ州オーランドの同性愛者向けナイトクラブで2016年6月12日未明(日本時間同日午後)、男が銃を乱射するテロ事件が起きた。50人が死亡、53人が負傷するという米国史上最悪の銃撃事件となった。

   警察との銃撃戦の末死亡した実行犯のオマル・マティーン容疑者(29)は、過激派組織「イスラム国」(IS)への忠誠を誓っていた。ISと関係があるメディアが犯行声明ともとれる文書を発表したが、現時点でマティーン容疑者とISとの関連は不明だ。ただ、マティーン容疑者は同性愛者を極端に嫌悪する発言を繰り返しており、ISは同性愛を犯罪だとして同性愛者をターゲットに残虐な方法で処刑を続けている。果たして両者につながりはあるのか。

  • 米国フロリダ州オーランドで起きた銃乱射テロでは50人が死亡した(写真:AP/アフロ)
    米国フロリダ州オーランドで起きた銃乱射テロでは50人が死亡した(写真:AP/アフロ)
  • 米国フロリダ州オーランドで起きた銃乱射テロでは50人が死亡した(写真:AP/アフロ)

容疑者、男性同士のキスを見て激怒

   複数の米メディアによると、マティーン容疑者は犯行時に日本の110番にあたる911番に通報し、自分がISに忠誠を誓っていることを明らかにした。これに加えて、事件発生後、IS関係の情報を流している通信社「アマク」が「攻撃はISの戦士によって行われた」などとする声明を出している。

   現時点ではマティーン容疑者とISに直接の関連があるかどうかは明らかではないが、共通点も浮き彫りになっている。同性愛者への嫌悪だ。

   マティーン容疑者の父親は事件後にNBCテレビの取材に答え、マティーン容疑者が妻や子どもとマイアミに出かけた時、男性2人がキスしているのを目撃して

「あれを見ろ、自分の息子の前であんなことをしている」

などと激怒していたという。地元紙のフロリダ・トゥデーによると、マティーン容疑者はゴルフリゾートで警備員をしていた。元同僚が同紙に明かしたところによると、マティーン容疑者は頻繁に同性愛者嫌悪や人種差別的な言葉を口にし、「不安定」だったという。この元同僚は、テロ事件の発生にも「驚かない」と話した。

目隠しされた同性愛者を屋上から突き落とす

   一方で、ISの同性愛者に対する扱いも苛烈だ。15年3月上旬には、英国のNGO「シリア人権監視団」が同性愛者に対する処刑が行われていることを指摘。処刑はISが首都だと主張している「ラッカ」西部の都市で行われ、後ろ手に縛られて目隠しをされた25~30歳の同性愛者の男性を100フィート(約30メートル)の建物の屋上から突き落とすという内容だ。男性は落下しても即死はしなかったが、処刑現場を見物していた群衆から石を投げつけた後に絶命したという。英ガーディアン紙によると、15年1月と2月下旬にも、同性愛者に対する同様の処刑が行われたという。

   15年6月には、イラク北部の都市モスルで同性愛者3人の処刑の様子を収録した映像が公開された。ISが組織的に同性愛者を敵視していることが分かる。

   15年8月には、国連の場でもこの問題が取り上げられた。ISから逃亡してきたというイラク人の男性が、国連安保理の会合に電話で

「我々の世界ではゲイであるということは死を意味する。住民は我々のことを邪悪だと思っているので、(ISが)ゲイを殺害すると住民の大半が喜ぶ。そして(IS)は高い信用を得る」

などとコメントを寄せている。

   マティーン容疑者はこうしたISの動きを知っていたのか。