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漫画ファンが台風被災地へ「意外な協力」 ツイッターでこんな「援助」ができるのだ

   台風10号による激しい風雨の影響で甚大な被害を受けた岩手県岩泉町のために、人気少年マンガ「ハイキュー!!」のファンがツイッターで呼びかけた「お願い」が、インターネット上で反響を呼んでいる。

   投稿者が訴えたのは、同作に登場する「岩泉」というキャラクターに関するツイートの「自粛」だ。災害関連の情報が「ハイキュー岩泉選手の影響で検索がしづらい」状況になっているとして、関連ツイートの「一時停止」をファンに要請したのだ。

  • 「ハイキュー!!」1巻(集英社)の表紙
    「ハイキュー!!」1巻(集英社)の表紙
  • 「ハイキュー!!」1巻(集英社)の表紙

「ハイキュー!!」の登場人物と被災地の名前が同じ

   「ハイキュー!!の岩泉」に関するツイート自粛を呼びかけたのは、岩手県軽米(かるまい)町に住むツイッターユーザーだ。台風10号の影響により岩泉町で大規模な浸水被害が起きている中、2016年8月31日朝に

「台風10号の影響で岩手県岩泉町が大変な被害を受けています。Twitterは被災者にとって情報をえる重要な手段となっていますが、岩泉が含まれるキーワードではハイキュー岩泉選手の影響で検索がしづらい状況となっています」(原文ママ)

と呼びかけた。その上で、同作に関する「bot」(自動投稿アカウント)の運営者に向けて「一時停止をお願いいたします」と嘆願している。

   実際、こうした注意喚起が出る前には、「岩泉の状況がハイキューファンの方のツイートに埋もれてる」「岩泉町の台風情報が知りたいのに能天気なツイートばっか」といった苦言もネット上には複数寄せられていた。

   「ハイキュー!!」ファンへ投稿の自粛を呼びかけたこのツイートは9月1日15時時点で1万7000回以上リツイートされるなど「爆発的」に拡散された。ファンからは「何か助ける事があれば、伝えてください」「ご協力お願いします」といった温かい反応が相次いでいた。

   また、「岩泉選手」に扮したbotの中には、呼びかけに応じて更新を停止しているアカウントも出ていた。

思い出ノートは奇跡的に助かりました

   ツイートの自粛を呼びかけたユーザーは31日夕にツイッターを更新。「大変な反響に驚いているとともに、ハイキューファンの方々の温かい対応に感謝いたします」とファンに感謝のメッセージを送った。

   そのほか、ファンの間では「募金とか岩泉町特産の商品の購入とかできることで協力したい」「岩泉くん推しの方は岩泉町にふるさと納税とかいかがでしょう?」などと岩泉町を支援しようとする動きも広がっている。

   このように、「ハイキュー!!」ファンがツイートの自粛や復興支援に強い関心を持つのには実は理由がある。作者の古舘春一さんが軽米町の出身で、14年のインタビューで「(同作は)岩手をイメージして描いている」と明かしていたためだ。また、作品に登場するキャラクターの名前も、岩手県内の地名から取られたものが多い。

   そのため、ファンの間では岩手県が同作の「聖地」と認定されており、全国各地から「巡礼」に訪れる人も相次いでいた。今回被害を受けた岩泉町も例外ではなく、観光施設「道の駅いわいずみ」には専用コーナーが設けられ、多くのファンが足を運んでいたようだ。

   道の駅いわいずみを運営する岩泉産業開発は9月1日、ツイッターで「小本川氾濫で大変な被害を受けてしまいました」と施設の被害状況を報告した上で、

「ハイキュー思い出ノートは奇跡的に助かりました」

と「ハイキュー!!」のファンに向けてメッセージを送っていた。