2024年 4月 25日 (木)

「象牙の印鑑」どうなるのか 国際会議が「国内市場」閉鎖要求

象牙印鑑保有者の8割が「使用不能になったら代替品検討」

   野生生物取引監視NGOの「トラフィック」の報告書(2016年春公表)によると、1989年には200億円程度あった象牙の国内市場規模は2014年には20億円程度に縮小した。象牙の輸入禁止を受け、ピアノの鍵盤で象牙の使用を取りやめたほか、企業や公共機関でも象牙の印鑑の使用が激減したことが大きいようだ。象牙関係業界そのものの規模も80年代の10%程度で、そのうち印鑑の生産量が80%を占めると推計されている。報告書では、「象牙の代替品として採用された素材は未だない」が、「次世代の高級印鑑素材としてチタンの市場が伸びている」と指摘。

   14年に同団体が行った消費者調査では、

「象牙の印鑑保有者の 80%以上が、利用中の印鑑が使用不能になった場合に代替品を検討しても構わないと考えている」

という。

   BBC報道によると、日本政府は会議で、決議案が規制の対象にしているのは「管理されていない市場」で、「日本の市場は閉鎖の対象外」だと主張。これに対して、環境団体からは

「日本政府が、市場に違法な象牙が流通していることを認めないのには失望した」

といった声があがっているという。

   環境省、経済産業省、ヤフー、業界団体の「日本象牙美術工芸組合連合会」などでつくる「適正な象牙取引の推進に関する官民協議会」が16年9月に発表した報告書では、

「象牙取引においても、ゾウの存続に影響を与えない条件及び厳格な管理体制の下での国際的な商取引による利益は、ゾウの保全及びゾウと共存する地域の地域社会の発展のための財源となりそれらに貢献しうるものである」

として、国内市場の閉鎖には否定的な見解だ。

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