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イケダハヤト氏が「ホメオパシー」を紹介 人気ブログで「(蜂などに)刺されたとき飲むと治るらしい」

   「アルファブロガー」として活躍するイケダハヤトさんが、「ホメオパシー」を紹介するブログ記事を書いた。

   ホメオパシーをめぐっては、学術団体が「治療としての有効性がないことが科学的に証明されている」と談話を出したこともあり、ネットでは、イケダさんのブログに対する批判の声も出ている。

  • 「非科学的」との批判はあるが…(写真はイケダさんのブログ)
    「非科学的」との批判はあるが…(写真はイケダさんのブログ)
  • 「非科学的」との批判はあるが…(写真はイケダさんのブログ)

「超信頼している」2人の話として紹介

   ホメオパシーとは「症状をおこすものは症状を取り去る」という思想に基づいた民間療法。ある成分を溶かした液体を効果がなくなるほど薄め、それを砂糖玉に染み込ませたもの(レメディ)を服用すると、その成分に関連する症状がやわらぐというものだ。18世紀末に欧米で生まれた。ヨーロッパなどで一定の広がりがあるとされるが、医学的な評価をめぐっては、日本でも、ホメオパシー関連団体と学術団体の間で論争が交わされるなどしている。

   イケダさんは2016年10月11日、「【ホメオパシー】ムカデや蜂に刺されたときは『エイピス』を飲むと治るらしい」と題する記事を公式ブログ「まだ東京で消耗してるの?」に投稿。

   記事中、自身が「超信頼している」2人から「エイピス」と呼ばれるレメディを紹介されたと明かし、「ムカデに刺されてパンッパンになって、レメディ飲んだら信じられないスピードで治った(Aさん)」「スズメバチに頭を刺されてクラクラしてヤバい! というときにエイピス飲んだら、信じられないけど痛みが引いて翌日はロングドライブができた(Bさん)」という2人の体験談を掲載している。

   さらに、エイピスが虫刺されや蕁麻疹に効果があると訴えるツイートを複数引用し、「田舎暮らししている方はいざという時にお試しあれ」と読者に勧めた。

   とはいえ、イケダさん自身はエイピスを服用した経験がなく、ホメオパシーについても「怪しいですよね」「個人的にはあんまり信用してません」「背後にある理論が知りたいけど、なんかカオスでよく分からない」などとも書いている。取り上げた商品が「20粒入って540円」であることも紹介している。

   この記事はネットで大きな反響を集めた。ツイッターでは

「ホメオパシーはまずいよ」
「思慮が足りない」

と批判が相次ぎ、脳科学者の茂木健一郎さんも13日、「ホメオパシーは実在しません。信じる人の心の中だけにあります」とツイートした。ネットの反応は、検索した範囲では批判が大勢を占めている。

厚労省「科学的知見が十分に得られているとは言えない」

   欧米生まれのホメオパシーだが、日本でもこれまで数々の議論を巻き起こしてきた。記憶に新しいのは2010年、日本学術会議とホメオパシー関連団体の間に起こった論争だ。日本学術会議は同年8月、「治療としての有効性がないことは科学的に証明されている」などとホメオパシー否定の声明を発表。日本医師会や日本医学会、日本薬剤師会、日本歯科医師会といった医療系団体がこれに賛同した。

   対するホメオパシー関連団体は、日本ホメオパシー振興会の永松昌泰代表が同月のブログで「(日本学術会議の)会長がイメージされていらっしゃるものと、実際のホメオパシーとは、大きな距離がある」、日本ホメオパシー医学協会も同月の公式声明で「ホメオパシーに効果があるというのは疑いようのない事実」と反論した。

   実際、日本学術会議も上記の声明では「ホメオパシーは現在もヨーロッパを始め多くの国に広がっています」「非科学的であることを知りつつ、多くの人が信じているために、直ちにこれを医療現場から排除し、あるいは医療保険の適用を解除することが困難な状況」だと指摘している。実際、症状が改善したと主張する個人ブログやSNS投稿、関係書籍もみられる。

   ただ、日本では09年、ホメオパシーに基づく治療で新生児が死亡する事故も起こっている。また近年、ホメオパシーなどの「代替療法」と西洋医学を組み合わせる「統合医療」の概念も医療界で提示されているが、厚生労働省は13年2月の資料で「現時点では、全体として科学的知見が十分に得られているとは言えず、患者・国民に十分浸透しているとは言い難い」と指摘している。

   イケダさんはなぜ今、ホメオパシーを取り上げたのか。J-CASTニュースは16年10月13日昼にメールで取材を申し込んだが、同日19時現在、回答はきていない。