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「大谷の165キロ」は打てるのか 対策バットも開発?

   日本ハムの大谷翔平が時速165キロを出し、球界に超ハイスピード時代が訪れたことを示した。最大の焦点は「だれが打てるのか」――

   大谷が165キロを記録したのは2016年10月16日、日本シリーズ進出を決めたソフトバンク戦(札幌)だった。7-4で迎えた9回表、指名打者からマウンドに上がり、2人目の打者の初球である。電光掲示板にその数字が出ると、球場全体が「ウォー」と驚きの歓声に包まれた。

  • 日本球史最速「165」キロ(写真は札幌ドーム、Wikimedia Commonsより)
    日本球史最速「165」キロ(写真は札幌ドーム、Wikimedia Commonsより)
  • 日本球史最速「165」キロ(写真は札幌ドーム、Wikimedia Commonsより)

「どうやって攻略するのか」

「日本新記録ですっ」

   放映するテレビのアナウンサーが絶叫した。大谷が自ら持つ最速記録を更新したのだが、切りのいい数字ということもあって各メディアは歴史的出来事のように取り上げた。

   これからの大谷は165という数字を基準に語られることになる。その意味ではとてつもないレベルの投手といえる。

   この速度のすごさは、対戦した打者しか分からない。つまり相手チームの打者だけで、味方である日本ハムの打者は分からないのではないか。

「だれが打てるのか」「どうやって攻略するのか」

   多くの専門家がそう語っているように、来シーズン最大の注目となるのは間違いない。

   野球のバッテリー間はおよそ18.5メートル。時速165キロというと、約0.4秒でホームベースを通過してしまう。

   実際に打席に立ったソフトバンクの打者は、3球の165キロに対し、右打者が空振り1、左打者がファウル2。バットに当たったファウルは3塁側にしか飛ばなかった。当てるのが精いっぱいで、とても振り切るようなスイングではなかった。

選球眼をさらに養う必要性

   各チームは「大谷攻略なくして日本ハムに勝てない」といったところから対策を練ってくる。剛速球投手を打つのに、よく投手プレートより1メートル前から打撃投手に投げてもらう練習をしたが、この旧来の方法を復活させることになるだろう。

   それと「ボール球に手を出さない」選球眼をさらに養う必要が出てくる。大谷は立ち上がりのコントロールに難がある。そこを突いて先取点を取り、逃げ切ることが出来れば勝機が生まれる。日本ハムに先行されると、大谷攻略はさらに困難になるだろう。

   かつて巨人のエースだった江川卓を思い出す。江川も立ち上がりが不安で、負けるときは先取点を奪われたときが何度かあった。立ち上がりを無難に乗り切ってコントロールが定まると、そのまま投げきったものである。大谷もそんなタイプに思える。

   運動具メーカーは「165キロを打ち抜くバット」の開発をするはずである。どのスポーツ種目でも道具の進歩は著しく、野球も大谷の出現によってさらに進むと予想できる。

   大谷は「時代を変える野球人」といえるだろう。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)