緊急座談会:医師が語るWELQ問題(前編)
日本のメディアは「医の倫理」持っているか

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   ディー・エヌ・エー(DeNA)が、医療情報サイト「ウェルク(WELQ)」で科学的根拠が不明確な記事や無断転用の疑いを指摘され、WELQを含むキュレーションメディア10サイトの停止に追い込まれた。なかでもWELQは、生死につながる医療の誤った情報を、編集チェックなしに公開していたとして厳しく指弾され、インターネットメディアの医療や健康情報全体の信頼性の問題へと拡大していった。

   医師たちは今回の「WELQ騒動」、ひいてはネットに加えて新聞やテレビといった既存メディアの医療・健康情報の取り扱い方をどう見ているのか。J-CASTニュースではDAA(アンチエイジング医師団)の3人の医師に、座談会形式で語ってもらった。

  • 座談会に出席したDAAの3人の医師。(左から)山田氏、塩谷氏、大慈弥氏
    座談会に出席したDAAの3人の医師。(左から)山田氏、塩谷氏、大慈弥氏
  • DeNAはキュレーションサイト問題で謝罪会見を開いた(2016年12月7日撮影)
    DeNAはキュレーションサイト問題で謝罪会見を開いた(2016年12月7日撮影)

「サイエンス」と「ヘルス」は分けて報じるべき

【座談会出席者】


塩谷信幸氏(北里大学名誉教授、DAA代表)
山田秀和氏(近畿大学医学部奈良病院皮膚科教授、近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長)
大慈弥裕之氏(福岡大学形成外科学主任教授・形成外科診療部長)
(司会はJ-CASTニュース編集部)

   ――「WELQ問題」では、信ぴょう性のない医療記事や、他所からの無断転載が批判されました。皆さんの率直な感想をお聞かせください。

塩谷 インターネットやテレビの情報は、玉石混交です。私はDAA(アンチエイジング医師団)を立ち上げ、信頼できる情報を医師から発信しようと活動を続けています。私がネットにかかわって驚いたのは、ネットの世界では「取材をしない」「情報はタダ」という考え方がある点ですが、今回の問題はまさに「来るべきものが来たのかな」と感じました。
大慈弥 形成外科の立場から話しますと、いろいろと言われているのが美容医療の分野です。問題のあるウェブサイトの規制やクーリングオフ、医師の質の担保、使用する材料・機器の安全性といった面で組織的に改善へと動いていますが、さらにネット上の怪しげな情報の対策も必要になってきました。患者は、ネット情報を含めていろいろと調べてきます。本来は医師が医学的な見地から正しい判断を下すのですが、美容医療では、根拠や安全性に乏しくても患者の求めに応じるケースも見られます。患者教育に取り組まなければなりません。
塩谷 今回問題となったのは、ネットのキュレーションサイトでした。しかしネットに限らず、医療情報とメディア全般との関係という視点もあります。キュレーションサイトはアクセス稼ぎが至上命題ですが、それはテレビが視聴率を上げようとするのと同じ構図と言えないでしょうか。
山田 私が信頼しているのはニューヨークタイムズやワシントンポスト、BBCといった英米のメディアです。これらは「サイエンス」と「ヘルス」をきちんと区別しています。日本のメディアは、これらがグチャグチャです。
   「サイエンス」にヒューマニティーはありません。事実だけです。著者が「真実だ」と思って論文を書いたのなら、それが「正しい」。もちろん(別の研究者が)それを批評するのは構いません。一方「ヘルス」は医療行為を含むもので、学問ではない。日本のメディアは、まずこの2つをきちんと分けるのが最低限必要だと思います。
   きちんとトレーニングを受けた専門ライターの教育も重要です。米国には、医学部出身の記者もいると聞きます。こういう人なら、医師や看護師と同様に「医の倫理」という概念を持っているはずで、それを前提とした記事を書けるでしょう。
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