渡辺和子さん、89歳で死去 『置かれた場所で咲きなさい』

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   ベストセラー『置かれた場所で咲きなさい』の著者で、学校法人ノートルダム清心学園(岡山市)の理事長、渡辺和子さんが2016年12月30日に89歳で亡くなり、追悼の声が続いている。

   亡くなってから新年を迎えて、全国紙が、立て続けに一面コラムで渡辺さんを取り上げるなど、その業績と人柄をしのんだ。

  • 学校法人ノートルダム清心学園HPのスクリーンショット
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9歳で「2・26事件」遭遇

   渡辺さんは1927年生まれ。ボストン大大学院博士課程を修了後、36歳でノートルダム清心女子大(岡山市北区)の学長に。27年間務めた後、理事長になり、女子教育の発展に尽くした。マザー・テレサさんとも交流を深め、来日したときは通訳を務めた。2012年に出した著書『置かれた場所で咲きなさい』は200万部を超える驚異的な売り上げを記録した。ほかにも多数の著書がある。

   渡辺さんは9歳の時、青年将校によるクーデター、2・26事件に遭遇した。陸軍教育総監だった父の渡辺錠太郎が殺される現場に居合わせたのだ。銃弾が飛び交う中で父が、和子さんを座卓の陰に隠してくれたため、一命を取り留めた。事件の半年後、将校らは処刑された。

   シスターになってからも、犯人たちへの恨みは消えなかったというが、事件から50年後、意を決して将校の遺族らが営む法要に出席。遺族は渡辺さんの前で深く頭を下げながら涙をこぼした。以来、家族ぐるみの交流が続いていたという。

   2017年1月3日付けの産経新聞「産経抄」はそうした渡辺さんの体験を紹介しつつ、「憎しみを花に変えるのが、どれほど困難か。誰よりも痛感しているのが、渡辺和子さん」と記し、安倍首相の真珠湾訪問や、日韓の慰安婦問題のこじれなどを踏まえ、「憎しみを花に変える努力は続けなければならない」と強調した。

傷ついた人の灯となって息づく

   1月4日付けの朝日新聞「天声人語」も同じく、渡辺さんの2・26事件の体験と、その後の和解に触れた。さらに若くして管理職になったことによるストレスや、過労からうつ症状に陥り、60代では膠原病(こうげんびょう)に苦しんだということなども紹介。自らのたどった暗い谷を著書で率直につづり、「つらかったことを肥やしにして花を咲かせます」「でも咲けない日はあります。そんな日は静かに根を下へ下へおろします」など、いくつもの輝く言葉を残したと、偲んだ。

   このほか徳島新聞も3日の一面コラム「鳴潮」で、「どこに行っても同じ。あなたが変わらなければ周りも変わらない」という渡辺さんの言葉を紹介しつつ、「多くの人を導いた渡辺さんが昨年暮れに逝った。だが、教えは今年も傷ついた人の灯となって息づく」と称えた。

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