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ワイドショーが「ネットで虐待批判」  鯉に酒飲ます神事の本当の評判

   コイにお酒を飲ませて厄払い放流する富山県砺波市の伝統行事について、テレビのワイドショーがネット上で批判も出ていると話題に取り上げた。出演者らは行事を中止にする必要はないと指摘したが、放送の影響も出ているようだ。

   「だいぶやばくね」「虐待にしか見えない」「アルハラじゃねーか」。テレビ朝日系「モーニングショー」は、2017年1月10日の放送で、この行事「厄払い鯉の放流」にネット上で批判の声が上がっていると伝えた。

  • コイに酒を飲ます神事がテレビに取り上げられ…(写真はイメージ)
    コイに酒を飲ます神事がテレビに取り上げられ…(写真はイメージ)
  • コイに酒を飲ます神事がテレビに取り上げられ…(写真はイメージ)

「伝統狩り」「窮屈な世の中」と理解の声は多い

   厄払い鯉の放流は、厄年を迎えた男女がコイの口にお神酒を注いで庄川に放流し厄払いをする神事で、7日に行われた。お供えしたコイが神事の後も生きていたことにあやかり、江戸時代後期に始まったとされる。

   この日は、男女11人が参加し、男性が手に取ったコイに女性がお酒を飲ませ、計4匹を放流した。

   モーニングショーでは、ネット上の批判に対し、主催者の庄川峡観光協同組合側の言い分を伝えるとともに、お酒はエラから出ていくのでコイに大きな影響はないとする魚類専門家の話を紹介した。そして、データ放送で視聴者アンケートを行ったところ、この行事を「理解できる」が3万6000件余で82%を占め、「やめるべき」は8000件余で18%になった。

   コメンテーターらからも「全然中止する必要はない」といった意見が出て、司会の羽鳥慎一さんは、「神事だから、感謝の気持ちを持って続けてもいいんじゃないか」とまとめていた。

   番組アンケートでも8割強が行事に理解を示している中で、ネット上では、そんなに批判が多いのだろうか。

   2ちゃんねるやツイッターなどを見ると、確かに行事に賛否両論が出ていた。「伝統狩り」「窮屈な世の中だね」「なんでも自粛してたらつまらない」などと行事に理解を示す向きは多い。

「虐待だと思った」「いくら伝統でも悪習だよ」の声も

   一方で、「虐待だと思った」「いくら伝統でも悪習だよ」「2度とやらんほうがいい」といった声も多かった。ブログなどでは、動物愛護を訴える人からの批判がみられた。

   庄川峡観光協同組合の理事は、J-CASTニュースの取材に対し、モーニングショーとは別のワイドショーが2015年に行事を取り上げてから批判が出るようになったと明かした。

   「お酒を飲まされてヨタヨタとしたコイもいたなどと紹介されて、15~20件ほど電話やメールで批判が来ました。ワイドショーですのでそういう取り上げ方も仕方ないと思うのですが、『動物虐待だ』『そんなことやる必要があるのか』と言われ、中には『お前らが酒飲んで川に入れ!』というものもありました」

   翌16年は、批判はほとんどなかったというが、17年は、行事が新聞などで報じられると、批判のメールが2件ほど来た。大量の魚を氷漬けにした福岡県北九州市内のスケートリンクにネット上などで批判が起きたので、嫌な予感がしていたという。

主催者は「いろんな意見を重く受け止める」

   さらに、今回モーニングショーが行事を取り上げると、批判が相次ぐようになり、電話やメールなどが20件ほども来た。コイにお酒をずいぶん飲ませていると出演者が発言したため、たくさん飲ませたと思われたのではないかという。ただ、「伝統なので頑張って続けてほしい」などといった好意的メールも初めて来て、3、4件に達した。

   行事について、理事は、次のように説明する。

   「コイにお酒をそんなに飲ませておらず、虐げる気持ちはまったくありません。むしろ、川の神様のコイに敬意を払い、長生きしてほしいという願いを乗せて放しています。ダム湖に続いているので、コイが死ねばすぐに分かりますが、これまでにまったくないです。今のところ中止にする予定はありませんが、番組のアンケートでも批判が18%あり、世の中が変わってきたとも思っています。いろんな意見を重く受け止めており、これからのことは考えていく必要があると思っています」