ホンダの戦略は吉と出るか グーグルと「完全自動運転」共同研究

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   ホンダと米グーグルが、完全自動運転車の共同研究に乗り出す。他社と資本提携を結ばず「自前主義」を貫いてきたホンダが、「ITの雄」であるグーグルと手を組むことで、完全自動運転の技術開発競争がますます激化しそうだ。

   ホンダの研究開発子会社、本田技術研究所と、米グーグルの自動運転車開発部門を独立させたウェイモが、共同研究を行う方向で覚書を結んだ。ホンダの車両にウェイモのセンサーや人工知能(AI)などを搭載。米国での公道実験を目指しており、得られた走行データを共有する方針だ。

  • ウェイモ社のHPのスクリーンショット
    ウェイモ社のHPのスクリーンショット

自前主義の伝統が強かったが

   ウェイモは欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)と提携しており、2016年12月には共同開発した試作車を公表した。しかし、日本メーカーとの提携はホンダが初めてだ。

   ホンダは自前でも自動運転の開発を進めてきた。2020年をめどに高速道路での自動運転機能を搭載した車を販売する計画だ。だが、世界の自動運転技術は、IT企業を巻き込んでさらに先を行く。独BMWは米インテルと提携し、2021年ごろに人が関与しない完全自動運転車を実用化する方針。独フォルクスワーゲン(VW)や米フォード・モーターも同時期の実用化を目指している。

   自動車の開発の領域が、燃費性能や優れた走りからAIなどを活用した自動運転へと広がる中、自前主義の伝統が強かったホンダも「異分野の企業との提携なしで技術開発はできない」(幹部)と危機感を強めている。2016年はソフトバンクともAI分野で提携した。

   ホンダはグーグルとは既に、スマートフォンと車をつなぐ技術の開発で提携関係にある。ホンダが完全自動運転の開発の遅れを取り戻すには、この分野にもっとも積極的で、既に協力関係にあるグーグルとの提携が最善と判断したとみられる。

   グーグル側にもメリットがある。同社の狙いは、完全自動運転車を自社生産することではなく、自社が開発した完全自動運転システムを世界中の車に搭載すること。グーグルが世界中のスマートフォンに自社のソフトウエア「アンドロイド」を搭載したのと同じ戦略だ。今回、FCAに続き、ホンダが提携相手に加わったことで強力な味方を得たことになり、今後もさらに自陣営の拡大に向けて自動車メーカーの引き込みに力を入れるとみられる。

「メーカーが下請けのような存在になるのではないか」との警戒感

   一方、トヨタ自動車は、完全自動運転車の導入を目指す米配車大手ウーバー・テクノロジーズに出資するほか、米マイクロソフトとも提携。「自動運転分野で同業他社との連携が遅れている」として、スズキと提携するなど仲間づくりにも余念がない。

   IT企業や自動車メーカーが仲間づくりを急ぐのは、将来、自らの技術を完全自動運転の世界標準とするためだ。技術自体の開発はもちろん、その技術を採用する仲間が多いほど、世界標準に近づける。

   ただ、自動車業界の中では、グーグルなどIT企業に完全自動運転技術の主導権を握られることへ「メーカーが下請けのような存在になるのではないか」と警戒感も根強い。完全自動運転が実用化されるといわれる2020年代、どの陣営が技術を主導しているのか。そして、グーグルとの共同研究に乗り出したホンダの戦略は吉と出るのか。開発競争の号砲は鳴ったばかりだ。

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