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稲田防衛相、本当は森友訴訟に出廷 「記憶違い」なら「虚偽答弁」ではない?

   森友学園をめぐる一連の問題で、稲田朋美防衛相がさらに窮地に立たされることになりそうだ。稲田氏は籠池泰典理事長との関係について「法律相談を受けたこともなければ、実際に裁判を行ったことはない」と、国会答弁で断言していたが、森友学園が原告の裁判に稲田氏が原告側の代理人として出廷したという裁判所の記録の存在が発覚。

   これを受け、稲田氏は出廷の事実を認め、答弁を訂正して謝罪した。野党からは「虚偽答弁」だとの指摘も出ているが、稲田氏は「自分の記憶に基づいて答弁してきた」という理由で、虚偽の答弁ではないと主張している。

  • 衆院本会議で答弁を訂正・陳謝する稲田朋美防衛相(写真は衆院インターネット中継より)
    衆院本会議で答弁を訂正・陳謝する稲田朋美防衛相(写真は衆院インターネット中継より)
  • 衆院本会議で答弁を訂正・陳謝する稲田朋美防衛相(写真は衆院インターネット中継より)

森友学園が起こした民事訴訟の第1回口頭弁論に出廷

   稲田氏は2017年3月13日の衆院予算委員会で、

「私は籠池氏から法律相談を受けたこともなければ、実際に裁判を行ったことはない」
「ご夫妻が私に法律相談をしていただいたとか、顧問をやってもらった、全くのそれは虚偽であります」

などと強い口調で、弁護士としての籠池氏との接点を否定していた。

   ところが、共同通信が3月14日夜に報じた記事で、あっという間にこの答弁は覆ることになった。記事では、2004年12月に行われた森友学園が原告の民事訴訟の第1回口頭弁論に、稲田氏が原告側代理人として出廷したとする、裁判所が作成した書類の存在を写真つきで報じていた。

   稲田氏とすれば、「動かぬ証拠」を突き付けられた形で、3月14日朝の閣議後会見では、事実関係について「確認する」と繰り返し、

「第1回期日に夫の代わりに裁判所に行ったということはあり得るのかと、推測できる」

などと釈明。

「虚偽答弁」

との指摘には、

「私は天地天命に誓って、今までも自分の記憶に基づいて答弁してきました。虚偽の答弁をしたことはありません」

などと反論したが、野党からは

「虚偽答弁であったならば辞任に値する」(民進党・山井和則国対委員長)

などと辞任要求が相次いだ。

やはり夫は顧問契約を結んでいた

   午後の衆院本会議では、稲田氏は3月13日の答弁について

「これは、委員会の場で突然過去の12年前の資料に基づくご質問であったので、私も全くの記憶に基づき、答弁したもの」

だと釈明の上、報道内容を認めて次のように述べ、3秒間にわたって頭を下げた。

「平成16年(2004年)12月9日、夫の代わりに出廷したことを確認できたので、訂正し、おわびいたします」

   稲田氏は、04年10月から09年8月頃にかけて、夫の龍示氏が籠池氏側と顧問契約を結んでいたことも明らかにした。稲田氏は、3月13日の参院予算委員会では

「弁護士業務について、守秘義務があるので、私は私人であり弁護士をやっている別人格であるところの夫の弁護士業務の内容についてお答えする立場にはない」

と事実確認を避けていたが、一転して事実関係を認めた形だ。

   その後の参院予算委員会でも、野党議員は稲田氏の答弁が「虚偽答弁」だったことを認めるように迫ったが、稲田氏

「私の記憶が間違っていたということは、事実なので、訂正してお詫びしているところ」

と述べるにとどめた。

安倍首相「今後とも誠実に職務にあたってもらいたい」

   政府は「火消し」に躍起だ。稲田氏の衆院本会議での答弁の直前に、安倍晋三首相は

「稲田大臣において、事実関係を確認の上ご説明するものと承知している。もとより、閣僚の任命責任はすべて内閣総理大臣たる私にある。その上で、稲田防衛大臣には、しっかりと説明責任を果たし、今後とも誠実の職務にあたってもらいたいと考えている」

と答弁し、辞任の必要はないことを強調。

   稲田氏の答弁撤回後も野党は辞任要求の構えを崩していないが、菅義偉官房長官は同日夕方の記者会見で、

「本件については稲田大臣は事実関係を説明した上で、昨日の参院予算委員会における答弁を訂正し、謝罪している。大臣には、今後とも誠実に職務にあたっていただける、そう認識している」

と述べ、幕引きを図りたい考えだ。