中国は2018年年初め、2017年の実質経済成長率が6.9%となり、7年ぶりに成長率が前年を上回ったと発表した。6.5%前後としていた目標を達成した。日本では、目標達成の原因について、2017年に共産党大会を前に拡大した公共投資が寄与したとの見方があり、2018年は減速が予想されると『朝日新聞』(1月19日社説)などは報道した。
ただし、2016年におけるGDPの水増しが明らかになっている中国では、ほんとうのGDPはどのぐらいなのか、データの修正が必要となってきており、最終的に経済成長が減速するのか、二ケタのプラスになるか、見通しがつかない。
2018年1月11日、天津市浜海新区は、統計方法を見直した結果、2016年の1兆元の生産総額が6654億元となり、GDPは3300億元減少し、3分の1近い減少となった。
それにさかのぼる1月3日、内蒙古自治区は財政と経済データの大幅な偽造が行われていたことを認めた。監査部門の計算の後、内蒙古の2016年の一定規模以上の工業付加価値額2900億元が審査の結果、削減されたが、それは全工業付加価値額の40%を占めた。この額は内蒙古の首府フフホトのその年のGDP総量に相当する。2017年の年初には、遼寧省で2016年のGDP23%水増しが暴露されている。
今月初め、新華社は中国の2016年GDPを最終的に74兆3585億元と確認し、前年同期比6.7%増としたが、そこから内蒙古自治区分の2900億、天津市分の3300億削減され、実際は73兆7385億元となる計算だ(遼寧省は明らかにしたのが早かったため、すでに水増し分は除かれていると思われる)。これは、2016年の全国GDP総量が0.83%減少したことに相当する。
西北を除く北方全体の10省・直轄市・自治区のなかで、すでに三つの省(遼寧・内蒙古・天津)が自らデータ水増しを暴露したわけだが、東北三省の吉林省も中央巡視チームと監査署から同時に「企業経済データが偽造されている省」として名指しされている。
他にも、黒竜江省は東北三省のなかでも最も経済的に弱い省であり、遼寧・吉林両省と比べて状況が良いはずがない。同じように「資源の呪い」を受けている山西省は、石炭価格な大幅の下落が響いており、河北省も環境保護新政の影響を受け、同様に楽観視できない。
残っているのは、北京市・山東省(全国GDP総量第3位)と河南省(全国GDP総量第5位)だけだ。
ただ、山東省と河南省も、同じような問題を抱えており、深刻さの程度が異なるに過ぎない。
中国のインターネット上では、
「山東のGDP偽造は大いにあり得ることで、自らそれを暴露するのも時間の問題だ」
といったコメントが見つかる。というのも、山東省の経済データに偽造の可能性があることは、すでに人事異動にその兆しがあるからだ。山東省の現任の省委員会書記である劉家義は監査署に30数年おり、その後に監査署監査長・党組織書記の地位から直接山東省トップに配置された。監査署監査長が山東トップに配置された理由は何かと憶測が流れているのだ。
河南省は現在のところあまり疑いを持たれていないが、河南省こそ「潔白」であると言ったら、全中国人民はみんな笑うだろう。
GDPを水増しした省が続々と出てきたら、中国のGDPの数字信じる人はどれだけいるだろうか。
(在北京ジャーナリスト 陳言)