2024年 4月 20日 (土)

ヘルプマーク「転売」後絶たぬ事情 「取りに行けない」難病当事者がフリマアプリに...

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   義足や人工関節を使用している人や、内部障害や難病を抱えている人、妊娠初期の人が、周囲に支援の必要性を知らせるための「ヘルプマーク」。東京都が2012年に作成して以来、導入する都道府県が増えつつある。

   そんなヘルプマークをめぐり、フリマアプリやインターネットオークションで横行するマークの売買に当事者は頭を抱えている。「必要なのに(マークを)取りに行けない」利用者がいる。背景にあるのは、そんな現実だ。

  • ヘルプマークが必要なのに…
    ヘルプマークが必要なのに…
  • ヘルプマークが必要なのに…

「地下鉄の階段を下りられない」

「困りましたね...フリマアプリ内での売買が後を絶ちません...この行為は、皆の税金で作り必要な方に無料配布している物で 儲けようと商売しているんですよ...ヘルプマークを買わないでください」

   ツイッターでこんな呼びかけをしたのは、ヘルプマークの普及啓発活動に携わる全国ネットワーク「全国ヘルプマーク普及ネットワーク」が運営するアカウントだ。2018年3月15日に投稿して以来、同27日現在までに「リツイート」3万5000件、「いいね」1万5000件の反響を呼んでいる。

   同ネットワークを創設した都内在住の渋谷みち代さん(55)は、自身も重度の難病をもっており、人工呼吸器で在宅治療を受けている。J-CASTニュースの取材に「全国の難病当事者の皆さんはとてもヘルプマークを必要としています。現在、我々難病当事者団体などの活動により全国へ広がっております」と明かす。

   ヘルプマークは、東京都が2012年に作成したものだ。18年3月12日時点で、北海道、東京、大阪、広島など19の都道府県で導入済み。周囲にヘルプマークを身につけた人がいる場合、主に(1)電車やバスで座席を譲る(2)駅や商業施設などで声をかけるなど配慮する(3)災害発生時に安全な避難を支援する――の3つを促している。

   都内では都営地下鉄各駅の駅務室や、都営バスの各営業所、都立病院などでヘルプマークを受け取れる。だが、渋谷さんは「身体の不自由な障害者や、パニック発作、さまざまな難病を抱える当事者は、そもそも地下鉄の階段を下りられず、たどり着けない」と説明する。配布場所まで取りに行けず、手に入れられない。つまり「必要なのに取りに行けない」当事者がいるという。

   そんな時、フリマアプリやネットオークションなどのウェブツールが皮肉にも助け舟となるのだ。

都「運営会社に問い合わせをする」

   「手に入らないから、手に入れた誰かが、フリマアプリなどで出品、それを購入してまでも欲しい難病当事者。様々な奥深い背景が隠されています」と、渋谷さんは説明した。

   その上で「何人か(フリマアプリにヘルプマークを)出品した人の話を直接メールで聞いたことがあります」とし、

「そもそも著作権が東京都にあり、東京都保健福祉局に申請や報告をしなければならないこと、承認を受けなければならないこと、ガイドラインが存在していることを知らないで出品しています」

と明かした。

   ヘルプマークをめぐっては、東京都が作成・使用のガイドラインを設けている。都保健福祉局の障害者施策推進部計画課の担当者がJ-CASTニュースの取材に明かす。

「ヘルプマークは東京都が商標登録をしており、ヘルプマークを適切に作成・活用できるよう、作成・使用方法等をガイドラインに定めています。自治体や企業がヘルプマークの作成・活用を希望する際は、ガイドラインに基づき、作成目的や使用物などを記載した申請書の提出をお願いしており、使用要件(ヘルプマークの主旨に合致していることなど)を満たしているか確認しています」

   ヘルプマークを売買する事例についても、同担当者は把握しているとし、

「こちらとしてはそもそもヘルプマークの転売を想定していません。なぜならマークの主旨にそぐわないからです」

とコメント。その上で

「営利目的で販売されると困ります。フリマアプリやネットオークションで出品されているのを見つけたら、運営会社に問い合わせをし、出品の取り下げなど対処しています」

と明らかにした。

メルカリ担当者に取材すると...

   こうしたヘルプマークの売買を止める要請に、フリマアプリ側はどう対応しているのか。

   日本最大級のフリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリ(東京都港区)の広報担当者は、J-CASTニュースの取材に「ヘルプマークに付きましては出品禁止物ではありません」と説明。その上で

「譲渡・転売禁止の商品として権利者からの要請があった場合、削除という対応を取ります」

と明かした。

   一方、マークの売買について渋谷さんは「都民の血税で東京都がデザイナーに依頼してここに至るまで2012年から7年の歳月、PRや維持にも多額の税金が使われていることなど、まったく考えていません」と批判している。

「欲しい人たちがいて、手に入らない人たちがいるということだけで、手軽に出品していることが多いと思います。フリマアプリやハンドメイドサイト、オークションサイトの会社側で規制していただきたい」

   まだ詳しい時期など未定だが、全国ヘルプマーク普及ネットワークは、ヘルプマークを取りに行けない当事者のために、郵送による無償提供のキャンペーンを企画しているという。

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