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下村元文科相、発言謝罪も「疑念」主張 「端から週刊誌に提供する意図で...」

   自民党の下村博文・元文科相が2018年4月22日に都内で開かれた会合で、財務省の福田淳一・前事務次官からセクハラ被害を受けたテレビ朝日記者の行為を「ある意味犯罪」だと述べていたことが明らかになった。発言は共産党の機関紙「しんぶん赤旗」が4月23日に音声つきで報じ、これを受けて下村氏は「表現が不適切」だったとして謝罪・撤回するとするコメントを発表した。

   ただ、下村氏が取り消したのは「ある意味犯罪」の部分で、女性記者が「端(はな)から週刊誌に提供する意図で隠し録音をしていたのではないかという疑念が生じた」とも説明。「被害者の人権と尊厳を傷つける内容」だとして、さらに批判を呼んでいる。

  • 自民党の下村博文・元文科相。会合での発言が問題視されている(2014年撮影)
    自民党の下村博文・元文科相。会合での発言が問題視されている(2014年撮影)
  • 自民党の下村博文・元文科相。会合での発言が問題視されている(2014年撮影)

「週刊誌に売るっていうこと自体が、はめられてますよね」

   共産党が「完全版」だとしてユーチューブに公開した38秒の音声では、下村氏とみられる男性が次のように持論を展開した。

「日本のメディアっていうのは、日本国家をつぶすために存在しているのかと最近、つくづく思う。それからまあ、あのー、とにかくテレビは見ませんけれども...むしゃくしゃするから。見るとですね、そんなことばっかでしょう?つまんないことで。まあ確かにね、福田事務次官が、あのー、とんでもない発言してるかもしれないけれども、そんなの隠しテープでとっといてね、テレビ局の人がですね、週刊誌に売るっていうこと自体が、はめられてますよね。ある意味で犯罪だと思うけど...」

   なお、テレビ朝日は女性記者が新潮側に音声データを渡したことを明らかにし「遺憾」だとしたが、「売った」とは言っていない。

   赤旗は下村氏が「セクハラ被害者を『犯罪者』扱いする暴言を吐きました」と報道。これを受ける形で下村氏はコメントを発表した。

   下村氏のコメントは

「『ある意味犯罪』と述べたのは表現が不適切でした。率直に撤回するとともに謝罪いたします」

と結ばれているが、撤回・謝罪したと読めるのは「ある意味犯罪」の部分のみ。さらに、この結論に至るまでのコメントの内容では、女性記者を非難するととれる部分も多い。

「女性記者は端(はな)から週刊誌に提供する意図で隠し録音をしていたのではないか」

   例えば、記者が音声データを週刊新潮に持ち込んだことが問題視されていることを指摘しながら、

「そして、オフレコの場での会話を隠し録音することも取材倫理違反であると思います」

などと主張。無断録音は「取材ではなく、身を守るため」だというテレビ朝日の説明に

「違和感を覚えたので、その疑問をクローズの会合で発言した次第」

だとした。さらに、

「テレビ朝日が隠し録音を事前に聞かされたことがなかったのだとすれば、もしかすると女性記者は端(はな)から週刊誌に提供する意図で隠し録音をしていたのではないかという疑念が生じた」

とも主張した。

   「ある意味犯罪」の表現を取り消す一方で、今回のコメントで「女性記者は端から週刊誌に提供する意図で隠し録音をしていたのではないかという疑念」を新たに提起することで、女性記者を改めて批判したともとれる。

   赤旗は4月24日、下村氏のコメントについて「『謝罪』しながら人権侵害に居直り」の見出しで報じ、「被害者の人権と尊厳を傷つける内容」だとして非難した。