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アメフト日大選手の謝罪会見 内田監督とは真逆の「いさぎよさ」

   アメリカンフットボールの試合で関西学院大学のクオーターバック(QB)に危険なタックルをして負傷させた日本大学の選手、宮川泰介さんが2018年5月22日、日本記者クラブで会見し、危険なプレーについて謝罪した。

   20歳の学生ながら、数百人の報道陣の前で顔を出し、矢継ぎ早に出る質問には毅然とした態度で答えた。真相を語っていない内田監督とは真逆だとする声もあり、「いさぎよい」「腹をくくった」との声が出ていた。

  • 会見で頭を下げて謝罪する日大アメフト部の宮川泰介さん
    会見で頭を下げて謝罪する日大アメフト部の宮川泰介さん
  • 会見で頭を下げて謝罪する日大アメフト部の宮川泰介さん
  • 会見に同席した代理人の西畠正弁護士(右)は「顔を出さなくて何が謝罪だと、撮影を受けることにした」と代弁した。左は薬師寺孝亮弁護士

「僕がやってしまったことは変わりません」

   会見はこれまで日大の内田監督が行ったのとは、まったく異なった雰囲気で始まった。宮川さん自身の意向で開かれたといい、代理人弁護士からは「顔を出さない謝罪はないだろう、顔を出さなくて何が謝罪だと捉え、あえて顔出し、撮影を受けることにした」との説明があった。

   こうした「腹のくくりかた」と「覚悟」は、その後の会見で一貫していた。弁護士の説明に続いて、宮川さん本人が謝罪。冒頭、立ち上がって30秒ほど深く頭を下げた。着席し、「試合の日までの経緯について、試合3日前の5月3日から話させていただきます」と、A4用紙6枚に書き留めた陳述書を読んだ。内田正人監督や井上奨(つとむ)コーチの指示で悪質タックルに及んだといい、具体的にいつどんな言葉が交わされたかという詳細な経緯を赤裸々に明かした。

   指示があったとはいえ、実際に全治3週間のケガを負わせた自身の行為の責任を重く受け止めている。報道陣からの質問では、監督・コーチの責任をどう考えているかを問うものが多数出たが、

「いくら監督・コーチから指示があったとしても、僕がやってしまったことは変わりません。監督・コーチにどうこう言うことではありません」

と、あくまで自身の過ちだと話した。

   「監督の指示が自身のスポーツマンシップを上回ってしまったのはなぜか?」と問われても

「監督・コーチからの指示を自分で判断できなかったという、自分の弱さだと思います」

と自責の念を述べている。

   関学の選手に謝罪したい旨は何度も申し出ていたといい、18日にようやく訪問して謝罪した。会見でも「事実を明らかにすることが、償いの第1歩だと決意」し、「相手選手、そのご家族、関西学院アメリカンフットボール部はもちろん、私の行為によって大きなご迷惑をお掛けした関係者の皆様に、改めて深くお詫び申し上げます」と謝罪した。

「立派に真摯に話してた」

   問題の試合では、「退場になりテントに戻った後、ことの重大さに気づき泣いていた」という。泣いたことを井上コーチに責められ、「さらに気持ちを追い詰められた」とも語っていた。

   しかし1時間にわたるこの日の会見では、取り乱すこともなく、終始背筋を伸ばして、事態の説明と償いの言葉を続けた。質問に答える際、少し間を置いてから話すことはあったものの、言葉を詰まらせることはなかった。報道陣が質問の前、会見を開いたことへの感謝を述べると、必ず頭を下げて応じた。「僕は今日、謝罪して真実を話すために来ました」とも述べていた。

   こうした宮川さんの一貫した姿に、インターネット掲示板上では、

「宮川の勇気ある証言」
「立派に真摯に話してた」
「最後断らなかった自分の責任って言ってる」
「宮川は精一杯の誠意を見せて告白した」
「被害届が出た、退部や退学程度では済まされない可能性 覚悟完了で顔出し実名会見 腹くくったのよ」

など、その潔さに触れる声が多かった。

   一方で、「宮川を悲劇の人みたいな扱いをしてる人がいるけど 宮川は自分が試合に出たいからって理由で他人を傷付けたんだぞ?」「いくら会見で誠意を見せたからといって宮川があのタックルをした事実は変わらない」といった声も少なくない。