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ニョンビョンで蒸気が出たり建物建設...  北朝鮮これだけある「核開発継続」の「状況証拠」

   国際原子力機関(IAEA)は2018年8月20日付で発表した北朝鮮に関する年次報告書で、北朝鮮の動向について「深刻な懸念」を表明した。

   「朝鮮半島の完全な非核化」で合意した18年4月の南北首脳会談や6月の米朝首脳会談後も、南東部の寧辺(ニョンビョン)の核施設で、蒸気プラントの稼働や建物の建設など核開発が進展しでいるとみられるためだ。

  • 金正恩氏の「本気度」は…?(写真は労働新聞から)
    金正恩氏の「本気度」は…?(写真は労働新聞から)
  • 金正恩氏の「本気度」は…?(写真は労働新聞から)

軽水炉の冷却水確保のためにダム建設?

   報告書は衛星画像や公開情報をもとにまとめられた。

   それによると、4月下旬から5月上旬にかけて放射化学研究所の蒸気プラントが作動したとみられる水蒸気が出る現象があった。

   燃料棒製造プラントでは、化学処理工場があるとみられる南東エリアで15年から建物の建設・改装が行われており、今も継続中だ。

   軽水炉については、18年に近くに管理棟らしき構造物が建設された。

   寧辺周辺でも核開発継続を示唆する動きがある。寧辺の施設に隣接する九龍江(クリョンガン)では17年末にダムが建設され、18年にはポンプ室らしき建造物も確認。軽水炉冷却のための水を大量に確保するための工事だとみている。寧辺と同じ黄海北道(ファンヘブクト)にある平山(ピョンサン)のウラン鉱山では、採掘、粉砕、濃縮の形跡がある、としている。

査察官追い出されたままでは「活動の実態や目的を確認できない」

   報告書では、こういった状況は国連安保理決議に明確に違反しているとして、「きわめて遺憾」だと非難。北朝鮮はIAEAの査察官を09年に国外退去にしており、

「(現場に)アクセスできず、IAEAはこういった活動の実態や目的を確認できない」

とも訴えた。

   米国拠点の北朝鮮分析サイト「38ノース」は18年6月、ミサイルの発射台が撤去された模様だとする調査結果を発表する一方で、寧辺については、8月9日に今回のIAEAの報告書と同様の分析結果を発表している。

   そんな中でトランプ氏は8月20日にロイター通信とのインタビューで、金正恩委員長との再会談が行われる「可能性が最も高い(most likely)」と発言。9月にニューヨークで予定されている国連総会で会談が行われるとの見方が出ている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)