2024年 4月 18日 (木)

山里亮太、憲法を考える(4) 日本の死刑制度の矛盾

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憲法学者の戸松秀典氏(左)と、J-CASTニュース名誉編集長の山里亮太
憲法学者の戸松秀典氏(左)と、J-CASTニュース名誉編集長の山里亮太

   これまで第9条の自衛隊のあり方、代用監獄の実情、AIと人権といったテーマで憲法を考えてきた、J-CASTニュース名誉編集長の山里亮太。

   今回は最終回、テーマは日本の死刑制度についてです。

   お話を聞くのは、憲法学者の戸松秀典先生です。

   今回は記事の最後にワンクリック投票もあるので、参加してみてください。

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8割賛成から8割「反対」へ

戸松: 日本は死刑制度について、日ごろは、さほど議論されていないですよね。

山里: そうですね。実際そういうことが起こると、報道なりで是非が問われる感じですね。

戸松: 私は学生に教えていた時、必ずこの死刑制度をテーマとして取り上げることにしていました。ゼミの学生20人くらいに、最初にアンケートを採ると、毎回8割16人くらいが死刑存続に賛成なのです。そこで彼ら自身に数回議論してもらう。私は議論には介入しません。
すると最終的には、8割が反対になります。つまり、死刑制度の存続と反対が逆転するのです。

山里: そんなにですか。

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戸松: 私は、日本の国民は死刑制度について議論をしてないからいけないと思うのです。
アジアの国の多くが死刑制度を廃止しています。ヨーロッパ、EUでは廃止です。これに対して、先進国と言われている日本では、いまだ死刑制度が存続しています。
個人的には、とても奇妙なことだと思っています。
2018年7月、オウム真理教の一連の事件に関与した13人の死刑囚の死刑が執行された際、ヨーロッパのマスコミが「野蛮な国」と報道しました。東アジアで死刑を行う国は、中国と北朝鮮、そして日本だ、と。こういう報道がヨーロッパではありましたけど、日本では野蛮という報道は何もなかったですよね。

山里: 2回目の冤罪事件の話にもつながりますが、ひょっとしたら冤罪で、無実の人が死刑判決を受ける可能性もありますね。

戸松: 冤罪で人を死刑にしたら取り返しがつきません。人の生命っていうのは、一番大切ですから。
憲法第36条には、「公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる」とあります。"絶対"という言葉を使っているのは、この条文だけです。
人の命は大切。だから人を殺してはいけない――。この方針から刑法199条に殺人罪という罪を設けています。そのように国が人を殺してはいけないという法律を作っておきながら、その国自体で死刑によって人を殺めるというのは、矛盾しています。

山里: これはどういう風に解釈して、現行の死刑制度ができているんですか。

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