2024年 4月 20日 (土)

日韓会談見送りで文大統領「逆ギレ」 NHKは「責任転嫁」と論評

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   2019年6月28日に大阪で開幕する主要20か国・地域(G20)首脳会議では、韓国大法院(最高裁)が日本企業に対して元徴用工らへの賠償を命じる判決を下した問題が尾を引き、日韓首脳会談は見送られる見通しだ。

   だが、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は通信社7社(AP、AFP、ロイター、新華社、共同、聯合、タス)による書面インタビューへの回答(6月26日付)で、韓国政府による提案は「現実的」だとした上で、「私はいつでも対話の扉を開いている」として、首脳会談が実現しない原因は日本側にあるとの主張を展開した。両国の主張はすれ違いが続いており、普段は抑制的な報道が多いNHKですら、「日本側に責任を転嫁」していると指摘するほど、日本側のいら立ちは高まっている。

  • 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「私はいつでも対話の扉を開いている」と主張している(写真は大統領府の動画から)
    文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「私はいつでも対話の扉を開いている」と主張している(写真は大統領府の動画から)
  • 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「私はいつでも対話の扉を開いている」と主張している(写真は大統領府の動画から)

日本が拒否した案を「現実的な解決策」と主張

   青瓦台(大統領府)の発表によると、文氏は徴用工問題について

「韓日関係の発展のために過去の問題を国内政治に利用してはならない。過去の問題は、韓国政府が作り出しているのではなく、過去に存在していた不幸な歴史のために生じたものだ」

と主張。

   この問題をめぐっては、韓国外務省が6月19日、韓国企業と被告となった日本企業が資金を拠出して元徴用工に賠償することに日本側が応じれば、日韓請求権協定に基づく協議に応じるという案を提案。日本政府は直後に「この問題の解決策にはならない」と拒否していた。だが、文氏はこの提案について

「現実的な解決策を用意して、日本政府に伝えた」
「当事者間の和解が行われるようにしながら、韓日関係も一歩進ませる措置」

などと表現し、首脳会談について

「私はいつでも対話の扉を開いている。G20の機会を活用することができるかどうかは、日本にかかっている」

とした。

NHK「韓国国内の批判をかわすねらいがあるとみられます」

   日本政府は、日韓請求権協定に基づく「政府間協議」に韓国側が応じないことを問題視。第三国を交えた仲裁委員会の設置を韓国政府に要請していた。協定では韓国が6月18日までに仲裁委員会の委員を任命する義務を負っていたが韓国は応じなかったため、日本側は19日、委員3人の選任を第三国に委ねる協定上の次の手続きに移行することを韓国政府に通告していた。文氏の回答では、こういった経緯には触れず、日本側に拒否された提案の正当性を一方的に主張する内容になっている。

   まったく議論はすれ違っている状態で、NHKは26日夕方、文氏の書面インタビューの内容を報じる記事をウェブサイトに掲載。その中で、

「日本側に責任を転嫁することで、首脳対話の糸口すら見いだせていないとする韓国国内の批判をかわすねらいがあるとみられます」

と論評した。

河野外相「韓国側の認識は、事態の重要性を全く分かっていない」

   東亜日報によると、河野太郎外相は6月24日付の同紙に対する書面インタビューに対して、

「(日韓)双方が外交的な解決策を見出し、双方が知恵を絞り出そうという韓国側の認識は、事態の重要性を全く分かっていない」

と答えている。こういった危機感を韓国側が共有していないことが、文氏の書面インタビューで改めて浮き彫りになったと言えそうだ。

   これは韓国メディアも同様で、聯合ニュースは

「韓国側は首脳会談の準備ができているが、日本はそうではないようだ」

とする青瓦台関係者の声を紹介。

「日本の参院選が終われば、政治的に負担が軽減される分だけ安倍晋三首相が対話に応じる可能性がある、という分析も出ている」

といった楽観的な見通しを伝えている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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