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娘あやして「誘拐犯」...劔樹人さん、J-CASTに心境語る 実感した「男性の育児」への視線

   ミュージシャン・漫画家の劔樹人(つるぎ・みきと)さんが2019年8月18日、娘を連れて新幹線に乗っていたら、誘拐犯と思われて警察に通報されたという体験談をツイッター・noteに投稿した。

   新幹線で幼い娘をあやしていたのだが、娘との二人連れを怪しまれて警察の捜査を受けることになったという。一連の体験談はネットで大きく反響を呼んだ。

   J-CASTニュースが19日に行った取材に、劔さんは一部始終を語った。

  • 騒動と、新幹線車内での様子を投稿した劔樹人さんのツイッターアカウント
    騒動と、新幹線車内での様子を投稿した劔樹人さんのツイッターアカウント
  • 騒動と、新幹線車内での様子を投稿した劔樹人さんのツイッターアカウント

イヤイヤを起こす娘をあやしていたら...

   18日の18時頃、劔さんは2歳半の娘とともに長野駅から新幹線「あさま」に乗車した。自由席に座っていたが、Uターンラッシュの時期で次第に車内は混み合い、高崎付近ではデッキにも人があふれるようになった。

   車内が混んできたことで、寝ていた娘がぐずり始めたという。ちょうど年齢的に「イヤイヤ期」にあたり、泣き叫んで癇癪を起し始めた。

   「手が付けられないし、まずいと思ってデッキに移動してあやしました」という劔さん。この年頃の子どもが癇癪を起こすのは珍しくなく、劔さんにとってはよくあることだったが、娘の激しい反応に、「うるさい、デッキに行け」と怒る乗客もいたという。

   そしてデッキで娘をあやしていたら、上野駅で乗車してきた警官に東京駅まで詳しく事情を聴かれることになった。

   「誘拐や重大事件の可能性があると言われ、身分証や保険証を見せ、妻(コラムニストの犬山紙子さん)にも携帯で連絡を取って身分を明かした」という劔さん。警官の態度は真剣で、「母親はいません」と無線で会話するなど、本気で事件性の有無を考えている様子だったという。疑いは晴れたが、上野駅で5分ほど停車したために列車も遅れることになった。イヤイヤ期の娘が「パパ違う!」という言葉をしきりに口癖にしていたのも、疑いをかけられた原因ではとも劔さんは推測した。

   「もしかしたら誰かが頭に来ていたずらでやったのかもしれませんが、通報した人を責める気はありませんし、警察官の方も職務上真剣だったと思います」と、捜査を受けたこと自体は気にしていない劔さんだが、車内での出来事からその後の「ここまで大きくなるとは思っていませんでした」という世間の反応を見て多面的に考えさせられたという。

「娘との二人連れで何度も新幹線にも乗っていて、本当に思いがけない体験だったのですが、母親と子どもの二人連れだったら通報されなかっただろうなとも思いましたし、男と女の子が二人きりでいるのを警察が怪しんでいる様子だったりと、まだまだ自分の子育てへの認識と世間の違いというか、男性の育児に対する世間との隔たりがあったかもしれません」

と劔さんは騒動を振り返り、「色々な発見があった」と語った。

父親への共感「本当に大変」「悔しい」

   新幹線の車内では癇癪を起こした娘に眉をひそめる乗客もいたが、デッキに立っている男性が「仕方ないですよね」と声をかけてくれたり、列車を止めてまで捜査する警官に「子どもが泣くのは当たり前だろう」と抗議する男性もいたりと、劔さん親子に寛容な乗客もいたそうだ。

   ツイッターなどでは、

「飛行機や、新幹線など、多くの人が乗車される中、泣くお子さんをあやしてるお父さん、お母さんをみると本当に大変だなあと思います。もっと周りが協力すべきなんですがね」
「日本って子連れに対する態度が本当に冷たいです。悲しさしかない」
「自分も平日の昼間に娘連れて市役所行った帰りに泣き出して警官から職質受けた経験あります。
子供が泣くことなんて色んな理由があるのに、「昼間に男が女児を連れている」っていう姿なだけで職質されて情けないやら悔しいやら色んな感情が湧き上がったのを思い出しました」

など、同じ父親からの共感や通報者への批判もあれば、

「あのタイプの顔のおっさんが娘と二人でいてめちゃくちゃ嫌がられてるの見たら申し訳ないけど疑ってみるの、これするなって難しいよ」

と、怪しむのは仕方ないという意見が投稿されている。

   また「いらんこといいますけど上手いこと育てたらそんな人前や公共の場で泣かないというのも一説にはありまして」というリプライもあったが、これらには劔さんは

「そろそろ私が男で育児経験に乏しいから赤ちゃんを泣き止ませられないんだろうっていう類の偏見が含まれた上から目線の意見がぼちぼち来出す頃じゃないかと思いますが...」

などの、皮肉を交えた反論を投稿している。

   妻の犬山紙子さんもこの件に言及し、

「つるちゃん今は平気な顔してて今も臭いオナラして笑ってるけど、こういうのは後からじわじわ辛くなるやつだから愛のメッセージありがたいと同時におかしいと思ったら通報はしよう、と通報された側からも思います。子どもに万が一のことある方が怖いですから、守ろう子ども」
「子どもが泣く期間は帰省を控えるとか、新幹線以外の手を使えとかそういう意見には一切同意しません。子連れも公共機関使っていい。それを控えろと言い出すと子育てなんてとてもできませんよ。子供もノリノリで新幹線を楽しむ日もあれば泣く日もある。
ベビーカーも電車に乗っていいんです当たり前です」

などの意見をツイッターに投稿している。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)