2024年 4月 24日 (水)

マイナンバーカード、伸びない普及率と弱すぎる「メリット」 iPhone対応も、できることといえば...

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   「♪私以外私じゃないの~」。社会保障・税一体改革担当相だった甘利明氏が、ロックバンド「ゲスの極み乙女。」のヒット曲にのせて、マイナンバーカード(個人番号カード)をPRしたのは2015年5月。あれから、もうすぐ5年の月日が流れる。

   その間、少しずつカードの機能強化が進められているが、なかなか普及には至らない。直近の動きと、これから予定されていることを確認しよう。

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オンライン申請への対応は一部のみ

   政府が運営するオンラインサービス「マイナポータル」は19年11月5日より、iPhoneからマイナンバーカードを利用してのログインに対応した。マイナポータルは、その名の通り、マイナンバーの情報ポータルとなるもの。アプリ「マイナポータルAP」をダウンロードして、マイナポータルのトップページでログインボタンを押し、「利用者証明用電子証明書」のパスワードを入れて、iPhone(7以降)のセンサーにマイナンバーカードをタッチすると、ログインできるようになった。なお、Androidでは、すでに約80機種が対応している。

   マイナポータルには現在、市区町村などが自分の個人情報をどう利用してきたか閲覧できたり、行政機関などからのお知らせを受け取れたりする機能がある。行政を電子化すれば、混雑する窓口へ行かなくていいといったメリットが得られそうなものだが、現状でオンライン申請に対応しているのは、子育て関連の一部に限られている。

   行政の電子化といえば、納税を電子申告できるe-Tax(イータックス)が有名だが、これとマイナポータルは別のサービスだ。17年1月から、マイナポータルからe-Taxにログインできるようにはなったが、マイナポータル上で確定申告の手続きまで完結できるわけではないのがややこしい。e-Taxでは20年1月から、スマートフォン(iPhoneを含む)とマイナンバーカードを利用した、所得税の確定申告書の作成・送信サービスを始める予定だ。

麻生財務相「ほとんどこれを使ったというメリットがない」

   マイナンバーカードの交付枚数(19年9月16日時点)は約1783万枚で、全人口の14%ほど。半年前より100万枚以上増えたが、まだまだ十分とは言えない。政府は9月時点で、20年7月末までに3000~4000万、20年度末に6000~7000万枚交付し、22年度末には「ほとんどの住民がカードを保有する」と想定している。

   マイナンバーの利用については、菅義偉官房長官が議長を務め、主要閣僚らが出席する「デジタル・ガバメント閣僚会議」で議論が続けられている。その第5回会合(9月3日)で麻生太郎財務相は、かつて発行されていた「住民基本台帳カード」を引き合いに出しつつ、こう疑問を呈した。

「ちなみに、持っている人、ここに何人いる。マイナンバーカード。その後ろのお役人さんで持っている人は。では、聞くけれども、これを何回使ったか。使った人が何に使ったかを聞いてみたい。利用している人を知っているのだけれども、これは免許証を返納してしまった高齢者が身分証明書のかわりに使っている以外に、ほとんどこれを使ったというメリットがない。メリットを出さなきゃ」(首相官邸サイトの議事録より)

   先述の交付枚数(9月時点)を世代別で見ると、75~79歳をトップ(人口の24.9%)に、70~74歳(23.7%)、80~84歳(22.8%)と続く。しかし20代から40代にかけては、10~12%台程度にとどまり、普及率に大きな差が出ている。

メリットの目玉、「ポイント還元」も複雑になりそう

   政府は「メリット」として、カードを健康保険証としても使えるようにする(政府は22年度末までに、ほとんどの医療機関での導入を目指している)ほか、20年にはカード保有者がキャッシュレス決済を利用したときに「マイナポイント」を国費で付与することなどを計画している。

   総務省の「マイナポイント活用官民連携タスクフォース」は11月6日、具体的なポイント付与制度について話し合った。同省サイトの資料によると、ICカードやQR決済の中から1つを選んで紐づけ、それでチャージ・買い物を行うと付与される制度を想定しているようだ。現時点では、ICカードではSuica、楽天Edy、WAON、nanacoが、QR決済ではPayPay、LINE Pay、楽天ペイ、メルペイ、Origami Payなどが参加意向を示しているという。

   とはいえ、その恩恵を受けるには、手間がかかりそうだ。まず紐づけの前段階として、「マイキーID」なるものを設定する必要がある。これは個人がパソコンやスマホで設定できるが、「端末等の機器やソフトのインストール等一定のICTリテラシーが必要」(資料より)となるため、老若男女に浸透させるにはハードルが高い。総務省は民間事業者を巻き込んでのID設定支援を考えているようだが、始まってしばらくは混乱必至だろう。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)

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