2024年 4月 19日 (金)

「Amazonには絶対負けない」で注目 名物書店員に「ポップ」への思いを聞く

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   佐賀県内の書店員がツイッターで、「Amazonには絶対負けない」と店内で飾り付けたディスプレイの写真を投稿したところ、その是非を巡って論議になっている。

   ジンベイザメや大きなタコを始め、様々な「水の生物」の絵が掲げられたポップの下に、子供向けとみられる本が並ぶ。

  • 「水の生物」や「天使の囀り」のディスプレイ(ほんまくらぶ.com@honyanohommaさん提供)
    「水の生物」や「天使の囀り」のディスプレイ(ほんまくらぶ.com@honyanohommaさん提供)
  • 「瀬尾まいこフェア」のディスプレイも(ほんまくらぶ.com@honyanohommaさん提供)
    「瀬尾まいこフェア」のディスプレイも(ほんまくらぶ.com@honyanohommaさん提供)
  • 「水の生物」や「天使の囀り」のディスプレイ(ほんまくらぶ.com@honyanohommaさん提供)
  • 「瀬尾まいこフェア」のディスプレイも(ほんまくらぶ.com@honyanohommaさん提供)

強気の一方で、「もうこういうの求められてないの?」

   その横には、アマゾン奥地を探検したメンバーの帰国後の異変を描いた貴志祐介さんの小説『天使の囀り』をポップで紹介したコーナーがあり、こちらは大人向きらしい。

   書店員の女性(40)は、「ほんまくらぶ.com」のアカウント(@honyanohomma)で2020年1月13日、こんなディスプレイの写真を投稿した。このほかに、19年の本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんのフェアとして飾り付けたディスプレイの写真など2枚をアップした。

   その一方で、書店員は、複雑な思いをツイッターにつづった。

「Amazonには絶対負けないと思ってるんだけどなぁ...もしかして、もうこういうの求められてないの?読んでみたいって、心を動かされないの...?」

   このツイートは、賛否の意見が相次いで反響を呼び、「いいね」が1万件以上も付いている。

   「こういうのがあるから通ってしまうんだよなぁ」「平積みに発見がある」「負けない気概を持って続けてくれればいい」。書店員に好意的な声も続々寄せられたが、一方で、こうしたポップに否定的な意見も、ネット上で相次いだ。

   「装飾がくどい」「押し付けがましく感じる」「本が脇役?みたい」「売り上げランキング順の棚があれば充分」といったものだ。中には、「まだアマゾンを本屋の対抗だと思っているんだ?」「頑張る方向性が間違ってる」といった指摘もあった。

「本屋に求められる本とは何か、考えるきっかけに」

   寄せられる意見について、書店員は、「普段来ない人を呼び込む方法になるとまでは考えてないです」などと反論しながらも、「出来ることは取り入れます」とツイッターで説明している。

   この書店員は1月22日、J-CASTニュースの取材に答え、「書き方が問題だった」と異論が相次いだことに反省を口にするとともに、こう説明した。

「アマゾンのことを普段意識して仕事をしているわけではありません。アマゾンは便利ですし、利用する気持ちは分かります。それは仕方ないことです。しかし、ディスプレイやポップで本を購入する人がいないわけではありません。そんな人に届けばと思って、メッセージを書きました。それほど大げさな話ではなく、本屋に求められる本とは何か、皆さんが考えるきっかけになればいいと思っています」

   ポップは手作りしたといい、『天使の囀り』の飾り付けは、業界内のディスプレイ・コンテストで19年にグランプリに輝いた。「水の生物」の飾り付けも、20年に準グランプリになったそうだ。

   ポップ禁止というおしゃれな大手書店チェーンを見て、「自分は古いのかな」と一時、ディスプレイを撤去したことがあった。しかし、勧めた本が売れたときの喜びを思い出して、ポップ作りを再び始めたと明かした。

   書店員は、専業主婦をしていたが、3人の子育てが一段落したことから、4年前に書店の契約社員になった。時給で働く環境の中、本が好きで続けているという。今では、地元の佐賀新聞に本の紹介記事を連載しており、名物書店員の1人だ。

「決めていた本を買うだけの人には、本屋はあまり意味がないかもしれません。何か面白い本をと思って来てくれる人たち、今世の中で起きていることにプラスした広がりを本に求めている人たち、にとって本屋は必要だと思っています」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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