2024年 4月 20日 (土)

安倍首相「意味のない質問だよ」発言に至った経緯は... 辻元清美氏の質問詳報

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    安倍晋三首相が、質問を終えて退席しようとする辻元清美議員(立憲民主党)に「意味のない質問だよ」と自席からやじを飛ばし、審議が一時紛糾した。その後の別議員が行った、辻元氏へのやじに関する質問に対し、安倍首相は発言を認めた上で、辻元氏の質疑に対し「罵詈(ばり)雑言の連続だった」「私に反論する機会を与えられず...」と理由を説明した。

    安倍首相が反発を示した「(辻元氏質問の)最後のところ」は、どのような内容だったのか。本当に「意味のない質問」だったのか。やじの様子や安倍首相の「理由説明」とともに詳しく紹介する。

  • 2月12日の衆院予算委で、やじ発言に関して答える安倍晋三首相(画像は衆院インターネット審議中継サイトより)
    2月12日の衆院予算委で、やじ発言に関して答える安倍晋三首相(画像は衆院インターネット審議中継サイトより)
  • 2月12日の衆院予算委で、やじ発言に関して答える安倍晋三首相(画像は衆院インターネット審議中継サイトより)

野党側反発で審議中断

    2020年2月12日の衆院予算委員会で、辻元氏が約48分の質疑を終えて自席へ戻ろうとした際、安倍首相は「意味のない質問だよ」とやじを飛ばした(この場面は翌日の民放情報番組でも音声付きで報じられた)。辻元氏は、「誰が言ったの?『意味のない質問』だって、誰が言った?今、『意味のない質問だ』って言ったんですよ」と発言主の確認を求めた。野党側はやじに反発し、審議は12分間にわたり中断した。

    辻元氏はこの直前(質疑の最後)、和泉洋人・首相補佐官と厚生労働省の大坪寛子審議官による海外出張時の「コネクティングルーム(内部で行き来ができる部屋)宿泊」問題などに触れ、「鯛(タイ)は頭から腐る」という言葉を引用しながら安倍首相の政治姿勢を批判した(詳細は後述)。

    審議が再開して質問に立った逢坂誠二議員(立憲民主党)が、やじ発言の事実関係を安倍首相に確認したところ、首相はこう答えた。

安倍首相「罵詈雑言の連続だった」

「あの、(質問の)最後のところでですね、ずっと辻元委員が私に質問ではなくて、ずっと、私から言わせれば罵詈雑言の連続だったわけですよ。頭から腐ると、腐ってる本体が私であると、ずっとこれを言い続けたわけですよね、政策に関わりなく。私に反論という反論する機会を与えられずに、延々とそれを繰り返された。私の目の前で、テレビつきで、ですね。それで終えられたんで、終えられたあとですね、それで、こんなやりとりは無意味じゃないか、ということを申し上げたわけでありますが、それは当然、そう思うじゃないですか。相互のやりとりがあって...ここで一方的に罵る、ここは質疑の場であってですね、一方的に罵る場なんですか?私はそうだとは思いませんよ。やっぱりそれでは質疑が無意味になる。私はそれでは質疑が無意味になってしまうと、こう思ったから、これじゃあ無意味じゃないかと、こう申し上げたわけであります」

と、「無意味」を4回も繰り返し、「意味のない質問」発言が自身のものであることを認めた。一方、逢坂氏は「辻元さんが言ったことは当たってると思いますよ」と反論した。

    安倍首相が触れた「最後のところ」で、辻元氏は何と述べたのか。辻元氏は質問全体の後半では、和泉首相補佐官と厚労省の大坪審議官による海外出張時の「コネクティングルーム宿泊」問題(週刊文春が報じ、外務省が10日の衆院予算委で事実と認めた)などを取り上げ、公私混同させない姿勢を示すべきだ、と安倍首相に迫っていた(安倍首相や菅義偉官房長官は「公務」だったとの認識を示し、辻元氏の求めには応じず)。最後の質問に立った場面では、次のように指摘した。

辻元議員「上層部が腐敗していると、残りもすぐに腐っていく」

「今回は加計学園の渦中の人(編注:和泉首相補佐官)でしたけどね、森友(学園)疑惑も同じ構図なんですよ。真実を知り得る中核にいた人たちは、みんな出世してるんですよ。(当時の財務省の)佐川(宣寿)理財局長は国税長官、ほとぼりが冷めたらですね、中村(稔・理財局)総務課長もイギリス公使に栄転じゃないですか。普通は処分される人なんですよ。
そして今度、加計疑惑の和泉補佐官には何も言うこともできない、すくんでますよね。こんな事、普通の会社だったら『ちょっと来い』と、『お前らはもうダメだ』とやるじゃないですか。結局はですね、口封じだと思われますよ、言えないんですよ、弱み握られているから、そう思われたって仕方がないじゃないですか。だから私は総理のためにもですね、そんなことはないと、仰るんだったら、はっきりとけじめを付けろと言ってるわけです。
総理、最後に申し上げます。鯛は頭から腐るという言葉、ご存知ですか。これはですね、英語とかロシア語でもあるんですよ、死んだ魚の鮮度は魚の頭の状態から判断できる、従って社会、国、企業などの上層部が腐敗していると、残りもすぐに腐っていく。総理が桜とか加計とか森友とか疑惑まみれと言われているから、それに引きずられるように官僚の示しがつかない。私ね、官僚のみなさん、可哀想です。心痛めてる官僚の方、たくさんいると思いますよ。今回(和泉補佐官に関する問題)も見るに見かねて(編注:メディアへの情報提供は)内部からじゃないかな、というぐらい心配しています。子供の教育にも悪いです。長期政権だからじゃないですよ、最初からやってるんですから。桜を見る会も、森友だって総理大臣になる前から講演に行こうとしてた。
まあですね、ここまで来たら原因は鯛の頭、頭を変えるしかないんじゃないですか。私は今日、総理がしっかりけじめをつけると仰ったら、ここまで言うつもりはなかったです。まあ、『私の手で憲法改正を成し遂げたい』と、総理の手で成し遂げることは、そろそろ総理自身の幕引きだということを申し上げて終わります」

    この後、安倍首相による先のやじ発言に続く。

   国会では野党側が反発を強めており、翌13日に予定されていた衆院予算委は開かれなかった。与野党協議の末、週明けの17日に予算委で集中審議を行い、冒頭で安倍首相にやじ(不規則発言)に関連して発言を求めることで合意した。

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