2024年 4月 18日 (木)

菅内閣支持率が「52.3%」 産経FNN調査はなぜ朝日・毎日より「約20ポイント」も高くなったのか?

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   報道各社の世論調査では、菅義偉内閣の支持率が不支持率を下回る厳しい結果が続々と明らかになっている。そんな中で一線を画しているのが産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が2021年1月23~24日に行った合同調査で、支持率は5割を超えている。

   産経・FNNの調査は、20年6月に架空の調査結果を入力する不正が発覚したのが原因で中止されていたが、21年1月に再開。菅内閣の支持率を調べて発表するのは今回が初めてだ。産経・FNNだけ際立って高いのはなぜなのか。

  • 菅内閣発足直後にも、各紙の世論調査で支持率が違うことが話題になった(写真は20年9月撮影)
    菅内閣発足直後にも、各紙の世論調査で支持率が違うことが話題になった(写真は20年9月撮影)
  • 菅内閣発足直後にも、各紙の世論調査で支持率が違うことが話題になった(写真は20年9月撮影)

産経・FNN52.3%、朝日33%、毎日33%

   産経・FNN調査をめぐる問題が明らかなったのは20年6月。委託先が、実際には電話していない架空の調査結果を入力する不正行為を行っていた。不正は19年5月から20年5月までの世論調査、計14回で見つかり、両社は調査結果に基づく放送を全て取り消した。産経は21年1月16日付の紙面で、社員が調査に立ち会ったり、調査員と回答者のやり取りを別の調査員が照合して確認したりする再発防止策を講じた上で、調査を再開することを明らかにしていた。このような経緯があるため、産経・FNNが菅内閣の支持率を調べて発表するのは今回が初めて。

   その上で1月25日付の産経紙面で報じられた内閣支持率は52.3%で、不支持率は45.0%だった。「政府の新型コロナウイルス対策を評価するか」との問いには、「評価する」33.6%に対して「評価しない」65.6%だった。

   一方、産経と同じ時期にあたる1月23~24日に朝日新聞社が行った世論調査では、内閣支持率は20年12月の前回調査よりも6ポイント低い33%で、不支持率は10ポイント高い45%だった。一方、

「新型コロナウイルスを巡るこれまでの政府の対応を評価しますか」

という問いには、「評価する」が前回より8ポイント低い25%、「評価しない」が7ポイント高い63%だった。

   その1週間前の1月16日に毎日新聞と社会調査研究センターが行った世論調査でも、同様の結果が出ている。内閣支持率は前回20年12月調査よりも7ポイント低い33%。不支持率は8ポイント高い57%だった。政府の新型コロナ対策は「評価する」15%、「評価しない」66%だった。

産経・FNNは「回答が不明確な場合には、『どちらかといえば』と再度質問」

   政府のコロナ対策への評価が低いという点は3つの調査で共通しているが、支持率は産経・FNN調査の方が際立って高く出ている。この背景にあるとみられるのが、調査手法の違いだ。

   産経は1月25日の紙面で、調査方法を

「調査エリアごとの性別・年齢構成に合わせ、電話番号を無作為に発生させるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)方式で電話をかけ、算出した回答数が得られるまで調査を行った。電話の割合は『固定電話4:携帯電話6』。回答が不明確な場合には、『どちらかといえば』と再度質問して回答を得た。調査対象は全国の18歳以上の男女1104人」

と説明している。朝日もRDD方式を使用し、調査員が固定電話と携帯電話に電話をかけており、具体的手法については

「固定は有権者がいると判明した1132世帯から632人(回答率56%)、携帯は有権者につながった2026件のうち1015人(同50%)、計1647人の有効回答を得た」

としている。毎日は

「調査は、携帯電話のショートメール機能を使う方式と、固定電話で自動音声の質問に答えてもらう方式を組み合わせ、携帯711件・固定368件の有効回答を得た」

と説明している。

   つまり、3調査のうち、産経のみが「回答が不明確な場合には、『どちらかといえば』と再度質問して回答を得た」という手順を踏んでいる。いわゆる「重ね聞き」と呼ばれる手法で、1月25日午前にフジテレビで放送されたニュース番組「FNN Live News days」でも、この点についての言及がある。

   菅政権コロナ対策への評価が厳しい割に支持率が50%を超えた理由をキャスターが質問したのに対して、同局のデスクは

「今回の調査では、回答が不明確だった人に『どちらかといえばどうか』と重ねて質問しており、支持・不支持ともに高い数字が出やすいという面もある」

と答えている。さらにデスクは、菅内閣を支持する人の中でも43%がコロナ対策を「評価しない」と回答したことを挙げながら、

「評価できないが、週末に感染者の状況も減少傾向で、今後への期待を込めて、ぎりぎり菅政権を支持すると答えた人がそれなりに存在することが読み取れる」

と解説した。

「重ね聞き」すると「支持・不支持の差が鮮明に出て、支持率が高くなる傾向がある」

   以前から、この「重ね聞き」をめぐる論点は指摘されてきた。例えば20年9月の菅内閣の発足直後の世論調査では、内閣支持率が朝日が65%、毎日が64%だったのに対して、日経新聞は74%と、8~10ポイント高い結果が出ている。9月19日付け日経電子版の解説記事では、日経新聞の調査では、

「回答が支持か不支持か不明確だった場合には『お気持ちに近いのはどちらですか』と重ねて聞く」

と説明した上で、「重ね聞き」で支持率が高めに出る傾向があることを、こう指摘している。

「今回の調査で日経新聞の最初の質問に『支持する』と回答した割合は66%で、朝日新聞や毎日新聞と同水準だった。2度聞きで掘り起こした『弱い支持』を反映した数値が74%である。この手法は支持・不支持の差が鮮明に出て、支持率が高くなる傾向がある」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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