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結局、B'zって何が凄いの? プロの目線で解説する、他のバンドとの「決定的な違い」

【連載】MUTEKI DEAD SNAKEのBUCHIAGARU!! music

   ロックバンド「B'z」がついにサブスクリプションを解禁した。1989年のデビューから33年分、全880曲のストリーミング配信が一斉にスタートしたのだ。

   実際、配信が始まった2021年5月21日には、配信サービス「AWA」のトップランキング100をB'zが一時独占。1位「いつかのメリークリスマス」を筆頭に、100位まですべてがB'zの楽曲となったのだ。

   このように、サブスク解禁にファンはお祭り騒ぎといった様相だが、若い読者の中には「実はB'z、よく知らない...」という人もいるかもしれない。長きにわたって活動を続けているのだから、それは当たり前だろう。

   改めて、日本を代表するモンスターバンド、B'zの持つ魅力とは何なのだろうか。音楽作家のMUTEKI DEAD SNAKE氏が、2001年リリースの「ultra soul」を通じて解説する。

  • 稲葉浩志さん(左)、松本孝弘さん(公式サイトより)
    稲葉浩志さん(左)、松本孝弘さん(公式サイトより)
  • 稲葉浩志さん(左)、松本孝弘さん(公式サイトより)

稲葉浩志さんの「クセ」が楽曲を彩る

   ついにサブスクリプションでの配信を開始したB'z。個人的な話ですが、B'zは僕が最初に音楽を好きになるきっかけになったバンドであり、実家に全アルバムをコンプリートしているくらい大好きなんですよね!

   今回はそのB'zの楽曲から、ウルトラ名曲の「ultra soul」に関して書いていこうと思います。

◆稲葉浩志さんの歌のニュアンスにBUCHIAGARU!!

   僕がはじめてB'zの楽曲を聴いた時に思ったのは、「とにかく稲葉さんの声、かっこいい!」ということです。B'zを聴くまで音楽をほとんど聴いたことがなかったのですが、凄まじいハイトーンとパンチのある歌のニュアンスにやられてしまいました。

   この「ultra soul」に関しても、稲葉さん節が存分に発揮されていて、この曲が発売された当時小学生だった僕は稲葉さんのニュアンスを真似しようと必死に練習していました。

   特にサビのフレーズ。これを「夢じゃない あれもこれも」とそのまま歌ってしまっては稲葉さんにはなれないわけです(稲葉さんにはどうやってもなれませんが)。

   この歌詞を稲葉さんふうに歌うと、アタマの「夢」の前に、まず「ぃ」が入ります。

   嘘だと思うなら、サビを改めて聴いてみてください!完全に「ぃ」が入っているので。

   「夢」の「め」もそのまま歌うのではなく、「じゃない」に移る前に母音の「え」を小さく発音しています。そして、最後も独特のしゃくりを入れて、このフレーズを締めくくっています。

   例に挙げたサビの箇所以外でも、稲葉さんは歌うときに言葉の各母音をしっかり発音し、語尾をしゃくり上げることが多いので、それが特徴となってリスナーにインパクトを与えています。

   そして最後の「そして輝くウルトラソウル」というフレーズ。何かよくわからないけど何かわかる気がする!みたいなパンチ力抜群のフレーズを、圧倒的な抜け感を持って叫ばれるわけです。掛け声もありますし、最高ですね。

   もし稲葉さんがクセのない歌唱するシンガーであったならば、B'zの楽曲の良さを持ってしてもここまでのモンスターバンドとしての地位を築くことはなかったでしょう。歌はニュアンスが大事なのだと教えてくれる、日本を代表するスーパーボーカリストだなと思います!

松本孝弘さんが紡ぐ「楽曲の整合性」

◆松本孝弘さんのギタープレイにBUCHIAGARU!!

   僕が音楽に興味を持ったきっかけはB'zですが、中学生になってギターをはじめよう!となったきっかけもB'zの曲を弾きたいから、という理由でした。

   そして、ギターを始めてみるとギターの松本さんの凄さに気づく訳です。

   初心者にとっては、シンプルにフレーズの一つ一つが難しく、「ultra soul」のギターソロには速弾きもあるので弾けないわ・・・って感じでしたが、自分の腕が上達してきて音を追えるようになったとしても、松本さんのようには弾きこなせないんですよね。

   その理由には、もちろんスキルが圧倒的なので、各プレイにおいてノイズやミスタッチが少ない、音の粒にばらつきがない、など色々な理由がありますが、コピーをする上で一番難しいのはギターのニュアンスや音色なんですよね。

   これは松本さんに限った話ではなく、世のスーパーギタリストは、音を鳴らしただけでこの人のギターだ!と思わせる音を持っています。

   少し専門的な話になってしまいますが、「ultra soul」のイントロの印象的なリードギターのフレーズ一つとっても、チョーキング、ビブラート、ミュート等、細かいテクニックを用いて演奏されており、誰の曲か聞かされないまま聴いても、これは松本さんだ!と思わせる音色を奏でています。

   B'zの楽曲の作曲されているのも松本さんで、作曲者が自身のギタープレイとフレーズ、音色で世界観を作り上げることによる整合性もB'zの楽曲の魅力の一つだなと思います。

   二人の天才が合わさった奇跡のグループがB'zだと思いますし、サブスクリプションも解禁されたことですし、これからはいつでも「ウルトラソウッ!(ハイ!)」ができるということでとても嬉しいです。

   余談ですが、はじめて僕がギターでコピーした楽曲は「BREAK THROUGH」という楽曲で、イントロのギターがかっこいいので聴いてみてください!この機会にまた僕も一から聴き直してみようと思います!