ミニッツ・シンキング

美術はこんなに面白い

三大巨匠の登場

鎌倉女子大学 生涯学習センター講師 伊藤 淳

はじめに

13世紀、羊毛製品や絹織物で経済的に大躍進したイタリア・フィレンツェ。15世紀になると、この経済力が多くの芸術家の誕生に寄与しました(参照:「美術はこんなに面白い ルネサンス導入編」)。
今回、ルネサンス期の芸術家の中でも特に大きな影響を後世に与えた3人、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロを取りあげます。
まず3人のプロフィールを紹介しましょう。

三大巨匠はこんな顔

※絵にカーソルを合わせてみましょう

レオナルド・ダ・ヴィンチの『自画像』。
チョークで描かれた、60歳くらいのレオナルドです。
この絵は現在表面の劣化・損傷が進み、トリノ王立図書館の保管庫にしまわれ門外不出です。
デル・コンテが描いた『ミケランジェロ像』部分。
60歳のミケランジェロ・ブオナローティがモデルです。
フィレンツェのカーザ・ブオナローティ所蔵。
ラファエロ・サンツィオの23歳頃の『自画像』部分。 ラファエロらしい明解な作品です。フィレンツェのウフィツィ美術館所蔵。

天才が爆発! 盛期ルネサンス

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ルネサンス最大の天才。フィレンツェ近郊のヴィンチ村生まれ。
フィレンツェ、ミラノなどを転々とし、フランスのアンボワーズで没。
『最後の晩餐』や『モナ・リザ』など有名な作品を残した一方、未完の作品も多い画家です。
ルネサンス最大の彫刻家。フィレンツェ近郊のカプレーゼ生まれ。『ダヴィデ像』、『天地創造』、『最後の審判』ほか。88年間の生涯に、書簡、スケッチ、回想録など多くの記録を残しました。
卓越したドローイング技量を持つ「聖母の画家」。ウルビーノ出身。ローマ教皇ユリウス2世に召かれ、《署名の間》などの装飾を手掛けました。短い生涯に残した多数の作品は、理想的様式として美術アカデミーの手本となります。

才能だけじゃない。 レオナルド

絵画、建築、彫刻はもちろん、医学、地質学、天文学、文学、軍事にも通じるレオナルド。人々は彼を「万能人」と呼びました。
しかし彼の膨大な手稿からは、才能だけではなく、たいへん勤勉な人柄もうかがえます。
また若い頃は、「この世で最高の美男子」と言われるほどの美貌の持ち主だったといわれます。

現存するだけでも約8000ページあり、
おそらくその倍以上のページが失われていると考えられます。

生前から伝記が! ミケランジェロ

ミケランジェロは、彫刻だけではありません。彼の絵画や建築は、現在に残るあらゆる芸術作品のなかで、最も有名なものの一つに挙げられています。
14歳でメディチ家の庇護を受け、後にローマ教皇ユリウス2世と歴代教皇から後援を受けた彼は、何と、存命中から伝記が出版されました。また、人々には「神に愛された男」とも呼ばれました。

抜群の経営手腕 ラファエロ

17歳で徒弟期間を終えて「マエストロ」に登録されたラファエロは、当時最大規模の50名に及ぶ工房で弟子や助手を率います。その工房は技術水準も群を抜き、出身者の多くは後に著名な画家となりました。
彼は人間関係の調整にも優れ、カリスマ・マエストロとして、協調的・効率的に工房を経営したといわれます。

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ところで当時、「芸術家」という概念はありませんでした。絵も彫刻も、工房の親方を師匠とし、徒弟制度のなかで修行したのです。それは、巨匠たちも同じ。
次の章では、彼らの親方・師匠たちにインタビュー。弟子への思いを語ってもらいます。

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