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「男の更年期」は命をも脅かす 自然には治らない、ではどうすれば

   女性と同じように男性にも更年期があることが知られてきた。

   体調の不良を感じるアナタ、更年期障害のセルフチェックをしてみませんか。早期発見、早期治療がアナタの長生きにつながりますよ。

  • 最近、疲れていませんか?
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不眠、メタボ、頻尿から脳梗塞、認知症へ

   「男性更年期障害」は、正式には「加齢男性性腺機能低下症候群」(LOH症候群)と呼ばれる。LOH症候群は、ED(勃起障害)など性的機能の低下だけでなく、不安やイライラ、うつ、不眠、メタボリックシンドローム、頻尿、「朝立ち」の消失......など体と心にさまざまな症状をもたらす。「テストステロン」という男性ホルモンの低下が原因だ。テストステロンが減ると糖尿病などの生活習慣病が起こり、脳梗塞や心筋梗塞などの脳血管障害が出て、最後は認知症を発症し、寝たきりになるという恐ろしい報告もある。

   女性の更年期障害は、閉経の前後に女性ホルモンの分泌が急激に低下することで起こる。「更年期は閉経前後の5年間」と定義され、大半の女性はこの期間に治る。しかし、男性の場合には定義はない。誰にでも症状が出るわけでもないが、時間が経てば自然に治るケースも少ない。閉経のようなきっかけがないため、理由がわからず、不快な症状が重なり、病状が進行してしまう。

自分でチェックできる「AMSスコア」

   どうも調子が悪いが、自分が更年期かどうかわからないという人に、手軽に行えるセルフチェックがある。国際的に用いられている「AMSスコア」という質問票だ。17の症状に対し、「なし」を1点、「軽い症状がある」=2点、「中くらい」=3点、「重い」=4点、「非常に重い」=5点の5段階で回答し、最後に合計点を出す。26点以下は正常、27~36点は軽度、37~49点は中等度、50点以上は重症で、至急治療が必要と判断される。また、3点以上が多い場合も要注意で、「朝立ち」が2週間以上ない場合もLOH症候群の疑いが強い。

【AMSスコア】
(1)肉体的・精神的健康状態の低下を感じる自覚症状がある
(2)関節痛や筋肉痛がある(腰痛、関節痛、手足の痛み、背中全体の痛みなど)
(3)汗をよくかく。突然発汗したり、緊張していないのにのぼせたりする
(4)睡眠障害がある(寝付けない、しばしば目が覚める、睡眠不足、眠れない)
(5)睡眠の欲求が強く、しばしば疲労感がある
(6)怒りっぽく、イライラする、小さなことですぐカッとなる、不機嫌になる
(7)神経過敏である、緊張感がある、落ち着かない、そわそわする
(8)不安・心配しやすい、パニックになりやすい
(9)身体的疲労感・活力不足である、能力全般の低下、活動の低下、余暇活動への興味の低下、無気力、達成感がない、なにかをするのにムリに奮い立たせないとできない
(10)筋力が低下してきた、弱くなってきたと感じる
(11)憂うつ気味である、落ち込む、もの悲しい、泣きそうな感じ、意欲減退、気分の浮き沈み、無力感
(12)自分のピークは過ぎたと感じる
(13)燃え尽きたと感じる、どん底状態にあると感じる
(14)あごひげの伸びが遅くなってきた
(15)性的活動、頻度が低下した
(16)朝立ちの回数が減った
(17)性欲や性的衝動が減った、セックスの喜びやセックスの欲求の低下

「トシ」だからと甘く考えず、早期治療を

   AMSスコアで中等度(37点)以上の人や、軽度でも気になる症状がある人は、早めに泌尿器科などの医療機関を受診したほうがいい。LOH症候群と診断されると、テストステロンを注射する「ホルモン補充療法」や、精神面でのカウンセリングなどの治療が行われる。男性の更年期障害は早めに対処しないと重大な疾患へと急速に進む危険性がある。「トシだから」などと甘く考えずに、「病気」と認識して早期発見、早期治療に取り組むことが大切だ。