2024年 4月 25日 (木)

過激な自撮りで命を落とす人続出 崖や滝、タワーの上で危険冒す心理

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   SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)にアップする「自撮り」写真を撮ろうとして命を落とす事故が、世界中で相次いでいる。最近でも南米ペルーで、高さ500メートルの滝の上から韓国人男性が落下、死亡したと2016年7月5日に報じられた。

   男性は自撮りに適した場所を探しているうちに、誤って足を踏み外したとみられている。身の危険を冒してまで自撮りに走る心理を、専門家に分析してもらった。

  • 多くの人は節度を保って自撮りを楽しんでいるが…(写真と本文は関係ありません)
    多くの人は節度を保って自撮りを楽しんでいるが…(写真と本文は関係ありません)
  • 多くの人は節度を保って自撮りを楽しんでいるが…(写真と本文は関係ありません)

撮りが原因の死者は、1年間で50人に

   世界各地で自撮り中に起きた事故の報道は少なくない。

「崖から飛んでいるように見える姿を自撮りしようと飛び上がったら、足を踏み外して転落した」
    「自動車の運転中に自撮りをして、交通事故を起こした」
    「拳銃を構えた姿を撮ろうとしたが、シャッターとともに誤って引き金も引いてしまった」
    「鉄橋によじ登って自撮りしようとしたら、送電線に触れて感電した」

   これらの自撮り撮影者は、みな死亡している。

   米紙ワシントン・ポスト(電子版)16年1月14日付記事によると、インドでは自撮り行為が原因とみられる死者数が15年の1年間で27人に達し、全世界では約50人に上ったという。ロシアでも自撮りによる死亡事故は多く、AFP通信は15年7月8日付記事の時点で、「今年(15年)に入ってから数十人が死亡、約100人が負傷している」と報じている。ロシア内務省は「楽しいセルフィー(自撮り)には命を落とす危険がある」とするパンフレットを作り、国をあげて警告しているという。

   ツイッターやユーチューブを見ると、自撮り写真・動画が多数公開されており、危険な状況で撮影されているものも少なくなかった。地上数百メートルほどのタワー頂上の、足場がほとんどない突端部分から目下に広がる街の風景とともに自撮りで収めた写真や、砂漠で発生した竜巻をバックに自撮りした1枚も見つけた。

   自撮り写真のSNS投稿者の心理について、各種メディアではこれまで「ナルシスト」「自己顕示欲から来るもの」といった学者の分析を紹介してきた。しかし、今日では命を落とすところまでエスカレートしている。心理カウンセラーで「『自撮り投稿』を愛する人の心理」と題するコラムの執筆歴もある青柳雅也氏は、J-CASTヘルスケアの取材に対し「どんどん過激な画像にしないと満足できなくなってしまっている」と指摘した。

多くの反応がないと幸福感得られなくなる

   青柳氏は、前提として「人間は誰かに承認されることに幸福を感じる生き物」だとする。「自撮り画像をSNSにアップしたら、好意的な反応がもらえた」という経験をすると、幸福感が得られる。しかしそれは一時的で、自撮り画像を投稿して反応がくることに徐々に慣れ、いつしか「当たり前」に感じるようになる。すると、もっと多くの人から反応をもらえないと幸福感を得られなくなる。そこでインパクトの強い自撮り画像を撮って人目を引こうと考え、行き過ぎた行為につながっていくのだ。

   こうした行動に向かう心理は、酒やギャンブル、薬物に代表される「依存症」になる経緯に似ている、と青柳氏は指摘する。何気ないきっかけで始まり、一度幸福を感じてしまうと、どんどん過激な方向にのめり込む。スマートフォンとSNSが普及してきた現代では、「自撮りに夢中になった発端も些細なことだったかもしれません。たまたま(SNSに)載せた一枚が危険な状況をとらえたもので、反響が大きかったら、同じ方向性で続けてしまう可能性はあります」という。

   しかし、酒好きでもアルコール依存症にまでなる人はごく一部であるように、大半の人は節度を保って酒と付き合っている。自撮り投稿者の場合も同じだ。それが身の危険が及ぶレベルまでエスカレートしてしまう理由は、「リアルな生活で満足が得られていないのではないか」と推測する。

「現実が充実していないために、インターネット上で存在感を出そうと躍起になる。家族や友人、同僚との関係が深い人なら、そういう人たちのことが頭をよぎり、自分を危険にさらそうとしてもブレーキがかかるはずです」

   現実の人間関係を充実させることが、自撮りのための危険な行為を自己制御する一つの対策になりえる、と青柳氏は語った。

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