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アタマジラミが「自撮り」でうつる? 英研究者らスマホ、タブレットとの関係指摘

   小さな子どもを持つ人が気になる話題のひとつが「アタマジラミ」だろう。日本では過去に根絶されたと言われたこともあったが、殺虫剤による駆除が行われなくなった1980年代以降増加し、現在では保健所や自治体などが定期的にアタマジラミへの注意喚起を発表している。

   そんなアタマジラミがよく見つかる子どもは、ある傾向をもつという調査結果を、英オックスフォード大学病院の医師らが2017年7月4~6日に英国皮膚科学会年次総会で発表した。

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集団のセルフィーで頭を寄せ合う

   アタマジラミはその名の通り、人の髪の毛に寄生するシラミだ。衣服などに寄生するコロモジラミは感染症などを媒介する可能性があるが、アタマジラミから何らかの病気に感染することはない。

   髪を洗うのが未熟で、幼稚園や学校といった不特定多数と頭部が接触する機会の多い、乳幼児や小学校低学年の子どもが寄生されやすい。タオル、帽子、ロッカーの共用で感染することもあり、日本ではプール開き前後にアタマジラミが報告される傾向にあるようだ。

   しかし、そんなアタマジラミがスマホやタブレットと関係があるというのだ。

   研究を行った医師らによると、まずオックスフォード大学病院の小児外来に通院していた子どもの両親を対象に1か月間アンケートを実施。性別や髪の毛の長さ、両親の社会的地位や経済状態、子どもがアタマジラミに寄生されたことがあるかどうかを調査し、202人の子どものデータを得ている。

   データを分析すると45%の子どもが5年以内にアタマジラミに寄生されたことがあり、特に6~9歳の兄弟姉妹がいる女児は寄生されることが高かった。

   さらに詳しく分析をしたところ、スマホやタブレットを持っていない子どもに限るとアタマジラミに寄生されたのは29.5%にとどまるのに対し、スマホやタブレットを持っている子どもでは倍以上の62.5%にもなった。

   つまりスマホやタブレットがアタマジラミを引き寄せている――わけではなく、研究を行った医師のひとりテス・マクファーソン氏は「スマホやタブレットを持っている子ども特有の行動に原因があると推測される」という。その行動とは、複数人が頭を寄せ合って自分たちの写真を撮影する、いわゆる自撮り(セルフィー)だ。

   マクファーソン氏は一般的には子ども同士の頭が接触する機会は限られているが、セルフィーをする子どもはその機会が多くなり、すでにアタマジラミが寄生している子どもから乗り移る機会が多いのではないかと指摘している。ただし、厳密にセルフィーが寄生の原因となっているかはまだ検証しておらず、あくまでも「推測」であるとも報告されている。

予防法はなく見つけたら駆除を

   マクファーソン氏によると今回の調査で判明した寄生率は、これまでに英国の調査で推計されていた2~3%よりもはるかに高いもので、改めてアタマジラミ駆除を徹底するよう呼びかける必要があるともコメントしている。

   英国でもこれだけ確認されていることからわかるように、アタマジラミは衛生環境や本人が不潔かどうかなどに関係なく、駆除しなければ接触の機会があるほど広がっていく。予防法はなく、日常的に髪の毛などをチェックして卵などが産みつけられていないかを確認するしかない。

   駆除をする場合は髪の毛にしがみついているアタマジラミや卵を取り除く専用のくしを利用するか、シラミ駆除成分である「フェノトリン」を含むパウダーやシャンプーを使用するといい。

   日本では国外に行った際、現地の寝具などから寄生されることもあるようで、小さな子どもを連れて夏休みに海外旅行へ行く機会などがある人は、帰国後に頭髪を入念にチェックしておきたい。