2024年 4月 19日 (金)

女性が苦しむ排尿時の痛み「尿路感染症」 毎日たっぷり水を飲むと予防できる

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   女性に悩む人が多い排尿時の痛みなどを引き起こす尿路感染症は、水をたっぷり飲むと予防できるという研究が、2017年10月44~88日に米サンディエゴで開かれた米国感染症関連学会週間(IDWeek2017)で発表された。

   よく「尿路感染症は水を飲むとよい」といわれてきたが、実際に実験で確かめたのは世界で初めてdという。しかも抗菌薬(抗生物質)を使わなくてすむため、世界中で問題になっている耐性菌対策にもなる一石二鳥の発見だ。

  • 毎日水をたくさん飲もう
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女性の40~60%が生涯にかかり、再発を繰り返す

   IDWeek2017のプレスリリースによると、尿路感染症は尿管や尿道に細菌が住みつき、増殖して炎症を起こす病気。細菌が増殖する場所によって、膀胱炎や腎盂腎炎(じんうじんえん)などに分類される。膀胱炎では尿をする時に痛みを感じたり、残尿感、尿の混濁があったりする。また、腎盂腎炎では腎臓の部分(背中側の背骨の左右)に痛みや発熱、血尿がみられることがある。また、再発を繰り返すことも多い。

   女性は男性より尿路が短いため、細菌が直腸から膀胱に移動しやすい。そのうえ膣からも細菌が入るため、女性に圧倒的に多い病気だ。米国では女性の40~60%が生涯に1度はかかり、年間1200万人近くが医師の診察を受ける。

   研究は米マイアミ大学医学部のトーマス・フートン医師らが行なった。対象者は閉経前後の女性140人。全員健康だが、過去1年間に尿路感染症を3回以上も発症している。1日当たりの水分摂取量がコップ4杯程度と、日常生活でも水を飲む量が少ない。尿路感染症を再発するリスクが非常に高い女性ばかりをあえて対象に選んだ。

   フートン医師らは140人を70人ずつ次の22つのグループに分けた。

   (11)これまでの水分摂取に加え、1日当たり1.5リットル(コップ6杯程度)の水を飲んでもらう。

   (22)これまでどおりの水分摂取を続ける。

   そして、実験開始から6か月後と12か月後に専門クリニックを受診し、尿の量や濃度、排尿の頻度、泌尿器の症状を調べた。また、毎月11度電話で指示どおりに水を飲んでいるかを確認し、尿路感染症の症状がある場合は受診を勧めた。受診した場合は、抗菌薬の処方の有無なども尋ねた。

   実験期間中、(11)のグループの実際の飲水量は、平均では1日当たり1.15リットルに増えた。水以外のほかの飲料も含めると、全体の水分摂取量は1日当たり2.8リットルだった。一方、(22)のグループは1日当たりの水分摂取量は(11)の半分以下だった。

   水をたっぷり飲むと、尿が膀胱の細菌を洗い流す

   その結果、12か月後までの尿路感染症の発症数(平均)を比較すると、(22)の水を飲む量が少ないグループでは1人当たり3.1件なのに対し、(11)の水を多く飲むグループでは1.6件で、48%の減少となった。また、抗菌薬の使用量も47%減少した。毎日、水をたっぷり飲むだけで、尿路感染症のリスクを半減できるわけだ。

   なぜ、これほど成果があがるのだろうか。フートン医師はプレスリリースの中でこう説明している。

「女性は男性と比べ尿道が短いため、尿路感染症リスクが高いのですが、水分をたくさんとることで、尿の量を増やし、膀胱から細菌が洗い流されるため予防につながると考えられます。多くの医師は長い間このことを想定し、尿路感染症に苦しむ女性に水分を増やすことを推奨してきましたが、誰も確かめた人はいませんでした。不快で迷惑な感染を防ぐために、水は簡単で安全な方法なのです」

   また、プレスリリースでは、今回の研究の別の意義を紹介している。米イリノイ大学感染症対策ディレクターのスーザン・ブレスデール医師はこう語っている。

「抗菌薬の適正使用を目指すした取り組みにで、今回の研究結果は大きな影響をもたらすでしょう。尿路感染症に苦しむ女性は、米国では年間1000万人以上と推定されますが、それに対する抗菌薬の処方は16億件にものぼります。水を飲むだけで、抗菌薬の使用を大きく削減できる可能性があるのです」
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