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未来の台所は3Dプリンターで料理 ピザにお菓子、かわいいデザインも

   「3Dプリンターでピザを印刷」。突飛な話に聞こえるかもしれない。創業5年の企業が開発した3Dプリンターは、原料を入れればピザをはじめパスタやパン、ニョッキを印刷してくれる。

   料理の中で最も手間のかかる工程を機械に任せられる。将来は家庭の台所に並ぶ一品になるかもしれない。

  • 「FOODINI」で料理を「印刷」する(photo credit:Natural Machines)
    「FOODINI」で料理を「印刷」する(photo credit:Natural Machines)
  • 「FOODINI」で料理を「印刷」する(photo credit:Natural Machines)
  • 「FOODINI」で料理を「印刷」する(photo credit:Natural Machines)
  • 「FOODINI」で料理を「印刷」する(photo credit:Natural Machines)

自分で新鮮食材を用意し、カプセルに詰めてセット

   スペイン・ナチュラルマシーンズ社が開発した「フーディーニ(FOODINI)」は、料理専用の3Dプリンターだ。見た目は電子レンジに似ている。まず、プリンターの画面に表示されたレシピから好みのメニューを選ぶ。すると、必要な食材が指示される。下準備した食材をカプセルに入れてプリンターにセットすれば、あとは「待つだけ」というのが、基本的な手順だ。

   例えばラビオリのように、生地と中身をそれぞれカプセルに詰め、数多くつくるようなメニューには最適だ。お菓子なら、星形やハート形のようなかわいいデザインもできる。パスタ類、フライドポテト、チョコレートといったメニューがつくれる。加工食品の場合は砂糖や塩の含有量が気になるが、自分で材料を用意すれば健康に配慮して塩分や糖分を控えめに調節できるし、新鮮で安全な食材を選べるのも安心だ。レシピは自分の好みのものを使ってもよい。

   一方で現状では、プリンターで「焼く」「揚げる」「煮る」といった調理の工程は担えない。ピザやパスタを「印刷」した後、オーブンで焼き上げたりパスタをゆでたりする必要がある。ただしカプセルは加温できるため、例えばチョコレートを適温に保ったり、ホカホカのマッシュポテトをつくったりすることは可能だ。J-CASTニュースがナチュラルマシーンズ社共同創業者でCMO(最高マーケティング責任者)のリネット・クスマ氏に取材したところ、「現在開発中の次世代版FOODINIは、(焼く、揚げるといった)調理を可能にする予定です」と答えた。

   現在はプロの料理人を対象に、注文に応じて販売している。クスマ氏によると、将来は家庭用プリンターの開発も視野に入れている。

「日本市場はターゲットにしています」

   印刷時間は、選んだメニューによる。ナチュラルマシーンズ社のウェブサイトによると、凝ったデザインのチョコレートは「20分ぐらいかかる場合も」あるが、4人分のラビオリなら「あっという間」だ。

   価格は、初回の限定生産分は4000ドル(約45万円)で、機械本体に加えてナチュラルマシーンズ社による技術サポートを含む。今後、技術の進歩とともに普及版が開発され、価格が下がることが期待される。一般消費者にとっては、家庭版プリンターが製造される段階になって、どの程度の価格で売り出されるかが注目だろう。

   ナチュラルマシーンズ社のサイトには、FOODINIで印刷された数多くの食品の写真が掲載されている。日本食もできるのだろうか。共同創業者でCMOのクスマ氏は取材に対し、「日本市場には大いに興味があり、ターゲットにしています」と答えた。「印刷例」の中には、日本食にヒントを得たメニューもあるという。日本食の代表格といえば寿司だが、さすがに生魚は印刷できない。だが同社では、寿司の一部だけでもFOODINIでつくれないかを現在研究中だという。