「忙しいんですよ!」どうしても健康診断を受けない社員たちがいます

2009/10/13 10:48

   このままでは会社がもたない! 何がなんでも売り上げを確保しなければと仕事を頑張っている最中に、「健康診断を受けてください」とのお知らせが。そんな余裕はないと放っておいたらどうなるのだろうか。ある会社の人事課長は、社員からの反発に「どこまで強制できるか」と頭を悩ましている。


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現場社員が「個人の問題でしょう?」と受診を拒否

――情報システム会社の人事課長です。現在、長時間の残業が日常化しており、時間外労働が月80時間以上の従業員が半数を超えています。現場上がりの私としては「そうでもしなければ仕事をこなせない」という現場の意見も理解しているつもりです。

   しかし人事部としては、会社のリスクを放置しておくわけにもいきません。当社は平均年齢が低いせいか、生活習慣病で通院しているものはいませんが、最近ではメンタルヘルス関係の休職者の割合が他社よりも高くなっているようです。これは慢性的な残業と関わりがあると考えています。

   そこで今年から、前の月に80時間以上の残業をした社員は、産業医が健康診断の結果を見ながら面談を義務付けることにしました。いまのところ、産業医のアドバイスを素直に受け入れているのか、面談が面倒なためかはわかりませんが、長時間の残業をする社員は、少しずつ減ってきているようです。

   ところが一部の社員が、長時間の残業をしているのにもかかわらず、この面談を拒否しており、忙しいことを理由に健康診断すら受けないものもいます。先日、春に受けるべき健康診断をまだ受けていない数人の社員に電話をかけて、受診を促したのですが、
「自分の健康状態は自分で分かってます。受けるまでもありませんから」
「忙しいんですよ! 健康診断の日の仕事は誰がやるんですか?」
「個人の問題でしょう? 会社が強制する権利はないですよ」
と強気です。現場の経験者として、そして人生の先輩として、健康管理の重要性を理解してもらえないことに情けなさを感じています――

(続く)

尾崎 健一(おざき・けんいち)

臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て、2007年に独立。ライフワーク・ストレスアカデミー代表として企業のコンサルティングを行いながら、秋田大学医学系研究科で自殺予防の研究に携わっている。『ケーススタディ 認知行動カウンセリング』(至文堂)に執筆者として参画。共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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