国際貢献を目指す若者が「意識が高い人(笑)」で終わらないために

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   ネットを中心に「意識が高い人(笑)」が話題となっています。おもに高すぎる目標を持っている若い人、特に学生たちを笑いものにする言葉です。

   私自身、国際的な社会貢献を志向する「意識が高い人(笑)」と呼ばれそうな人と、たくさん会っています。彼らを見ていて揶揄したくなる気持ちも分かるのですが、うまく導いてあげれば大きく成長する要素もあるだろうなとも思います。

   そこで今回は、「意識が高い人(笑)」は何を持っていて、何が足りないのかを「アジア海外就職」と絡めて考えてみることにします。

「金儲けには興味がない」では世界を変えられない

意識は高く! アメリカ、グランドキャニオン(アジアではないのですが…)
意識は高く! アメリカ、グランドキャニオン(アジアではないのですが…)

   「意識の高い人」は、野望を持っています。自分の力で世界を変えたい、自分の力で自分や他人の人生をよりよくしたいという野望です。

   意識の高さは、ビジョンを生み出します。将来こうしたい、自分はこんな事をやりたいという、遠い理想的な目標です。スティーブ・ジョブスやチェ・ゲバラ、ガンジーなどの偉人も間違いなく「意識が高い人」です。

   それ自体は悪いことではないのですが、では、なぜ「意識が高い人(笑)」は偉人たり得ないのでしょうか。彼らに足りないモノが2つあります。ひとつは「現実の世界を動かすしくみ」を軽視していることです。

   「世界をもっと良くするために、途上国で社会起業したい」というビジョンがある人は、往々にして「日本の会社で社畜をするなんてあり得ない」といいます。

「金儲けには興味がない。社会貢献が第一」
「フェアトレード以外の取引は搾取」

という人も多くいます。

   しかし実際のところ、世界を変えるには人や企業との協力が必要で、いかに多くの人を巻き込んでいくかが大切になります。お金がきちんと回らなければ人を雇用することもできず、どんな事業でも行き詰まります。

   純粋に山の頂だけを見つめて、それ以外のことを全て否定してしまうことが、知識も経験もある大人たちから笑われているのです。登山でいえば、山頂に向かって一直線に突き進むルートが最適である確率は非常に低いです。

   そう考えると、自分のホームグラウンドたり得る日本国内のビジネススタイルを学び、人脈を作れる日本企業での実務経験も有益であることに気づくでしょう。

行動する人は「現実は理想どおりに動かない」と知っている

   もうひとつ足りないモノは「行動」です。高い意識を持っている人は、そのビジョンを作り上げることに酔ってしまいがちです。そして、ビジョンに直結する道以外を否定することに躍起になり、実際に行動を起こすことをおろそかにする場合が多い。

   たとえば途上国を幸せにする事業を思いついても、考えてみるのと行動するのでは大きく違います。途上国でモノを作ろうと思っても、現地の人は思ったほど純粋ではないのでビジョンを語るだけでは仕事をしてくれません。

   現地で作ったモノを日本に運ぶためには、様々な書類を作成しなくてはなりませんし、うまく送れず納期通りに送れなければ、顧客はクレームをつけてきます。

   「動いたら動いただけ障害が発生する」ことは、会社で働いたことがある人なら誰しも体験することです。その体験の中で、どんなときにどんな障害が起こるか、起こった時にどう対処すべきかを予想し、対応する術を覚えるのです。

   行動が足りない人は、そのような体験がないので障害が予想できず、さらに理想論だけを語ってしまうので、多くのツッコミが入ってしまうわけです。

   本当に国際貢献に関わりたければ、海外に関わる何らかのビジネスに携わるといいと思います。そこで現実を見ることにより、ビジョンを達成するための道がより具体的に見えてくるでしょう。机上で作ったビジョンが修正される出来事があるかもしれません。

   若者が世間知らずで経験不足で実績もないくせに生意気なのは、当たり前なこと。大人はそれを笑いものにするのではなく、彼らをうまく導き、志を具体的な実行に移させるようにしたいものです。もちろん若者自身にも、意識と実績のギャップを埋めていこうとする姿勢や行動が求められます。(森山たつを)

森山たつを
海外就職研究家。米系IT企業に7年、日系大手製造業に2年勤務後、ビジネスクラスで1年間世界一周の旅に出る。帰国して日系IT企業で2年勤務後、アジア7か国で就職活動をした経験から「アジア海外就職」を多くの人と伝えている。著書に「アジア転職読本」(翔泳社)「はじめてのアジア海外就職」(さんこう社)がある。また、電子書籍「ビジネスクラスのバックパッカー もりぞお世界一周紀行」を連続刊行中。ツイッター @mota2008Google+、ブログ「もりぞお海外研究所
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