「会社の飲み会」に部下が不参加 社長はおかんむり、部長が板ばさみ

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   会社は仕事場であり、飲み会は無意味――。いつの間にかそんなことが「常識」となっているが、仕事を離れた懇親の場には、それなりの効用がある。特にチームで行う仕事だと、そんな場をうまく使いこなせるマネジャーが高い成果を上げることもある。

   とはいえ、山積する仕事が処理しきれずに「飲み会どころでない」という人も少なくないだろう。ある会社では、社長主催の飲み会に部下が残業を理由に出席しなかったことから、部長が板ばさみにあって弱っているという。

「仕事より大事」と言っておいたのだが

――従業員60名のIT商社の営業部長です。弊社ではこの春から社長が代わり、隔月で若手20人ほどを対象とした飲み会を開催しています。

   うちの部からも10数名が参加することになっており、部下たちには「仕事より大事だから、飲み会には必ず出るように」と伝えています。

   しかし第2回目が開かれた7月初旬の飲み会に、3人の部下が出なかったようです。理由は「仕事が忙しく残業をしていたため」。コース料理を頼んでいなかったのでおカネの問題は起きなかったようですが、社長は不満のようです。

   部下たちに事情を確認したところ、いきなり猛反発を受けてしまいました。

「仕事が忙しいんだから、仕方ないじゃないですか? 部長は仕事より飲み会が大事と言いますけどね、お客さんとの板ばさみに遭うのは私たちなんですよ。そんなに飲み会に出させたければ、仕事は他の人にやらせてください!」

   そうこうしているうちに、今度は社長室から「飲み会に出ない人は、その理由を文書にして提出せよ」というお達しが来てしまいました。

   彼らの気持ちを考えると、これをそのまま渡して書かせる気になれないのですが、かといって仕事を他の人に引き受けさせるほどの余裕もなく…。私だって板ばさみなんですが、こんなときどうすればいいものでしょうか――

社会保険労務士・野崎大輔の視点
マネジメントの訓練として「他の人でもできること」を報告させる

   忙しいのは分かりますが、こうした会社の行事は意外と大事です。お互いのことを知ることは、円滑なコミュニケーションの基礎となるからです。普段あまり話さない人とも親しくなれますし、意外な一面を見ることもできます。社長の意図もあるのでしょうし、飲み会には極力出るべきではないでしょうか。急な招集でもなければ、2~3時間くらいなのですから何とか調整して対象者全員が参加できる体制をとりたいものです。

   とはいえ、彼らの仕事が忙しいということも無視できません。飲み会に参加できない部下たちには、あらかじめ「他の人でもできること」を報告させて先輩社員に仕事を振るなどの配慮も必要です。自分以外に頼める仕事を報告させることは、初期マネジメントの訓練にもなるでしょう。それでも、どうしても人員が足りないというのであれば、増員するしかありません。社長に現状を報告して状況を改善するのは、部長の仕事です。

臨床心理士・尾崎健一の視点
「文書」がペナルティなら時間外手当が必要になるかも

   社長はトップの思いを伝え、社員の要望を聞き取るコミュニケーションの場を作ろうと、良かれと思って企画しているのでしょう。しかし、現場の社員たちの業務負荷が多大であることを理解していない可能性もあります。社長室には率直に「仕事が忙しいこと」と「具体的な業務内容」を書いて提出してはいかがでしょうか。その内容が正しければ、部長も承認するコメントを加筆して提出するしかありません。もし上司の期待と部下の業務の認識に違いがあるようなら、話し合う材料にするといいでしょう。

   それではコミュニケーションという目的が達せられない、と考える場合には、部下に社長に伝えたかったメッセージを簡単にまとめさせ、部長から提出してあげるのもひとつの手です。なお、文書を「反省文」などペナルティの意味で課すならば、強制参加と見なされます。とすれば飲み会が業務扱いとなり、時間外手当の支払いが必要となる可能性が出てくるかもしれませんよ。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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