中小企業における「経営コンサルタント」の上手な使い方

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   先日、知人から誘われたパーティで、初対面の中小企業オーナー社長からいきなりこんな球が投げられました。昨年から経営コンサルタントを使っているが、役に立っている実感がないのだそうです。

「相手が悪いのか、僕の使い方が下手なのか。大関さん、会社の役に立つ上手なコンサルタントとの付き合い方があるなら教えてくださいよ」

   自社で契約したきっかけは、社長仲間から「弁護士と税理士、経営コンサルタントは、会社を強くするための顧問として抱えておけ」と勧められたからだとか。

社長自身が「問題」や「希望」を語る必要がある

レポートや財務分析が役に立たないのは誰のせいなのか?
レポートや財務分析が役に立たないのは誰のせいなのか?

   弁護士は法的なチェックに不可欠だし、税理士は節税面でアドバイスをくれる。しかし経営コンサルタントというのは、一体何をしてくれる人なのかと、どうも納得がいっていない様子です。

「業界レポートだとか、御社の財務状況分析だとか、あれこれ持ってきてはいろいろ話は聞かせてくれるけど、それでどうしたのって感じでね」

   弁護士や税理士は、その資格の所有者でなければできない業務があり、それをもってクライアントのお役立ちを実現してもいます。しかし、コンサルは公的資格は必要なく、確かに一体何の役に立つのかと言われば不透明にも思えます。

   現状では、担当のコンサルが月に1回会社を訪問し、社長にヒアリングをおこない、次回はヒアリングに関するレポートや財務分析資料を持ってくるようです。社長には、そのレポートが一般論すぎるし、財務分析も表面的に思えてなりません。

   もちろん、このような場合、コンサルの力不足という面もあるのですが、社長に「活用する意思」がなくて役立たないという場合が少なくありません。高い顧問料を払っているのなら、コンサルに使われていいお客さんになってはダメです。私はこう忠告しました。

「経営コンサルタントには、『会社の強みを伸ばす方法』と『会社の弱みを克服する方法』を相談してください。そのためには、社長自ら自社の強みと弱みについて語り、『ここをいつまでにこうしたい』と具体的なオーダーを出すことです」

   社長が受け身であっては、会社のことをよく知らないコンサルが表面的なことしかできないのは、ある意味当然のこと。まずは社長自身が「問題」と考えている現状について、自分の考えを示すことが重要です。そのうえでコンサルから不快なことや耳の痛いことを言われても傾聴し、可能な限り実行に移すべきです。

他人の言葉に耳を貸したがらない社長とは相性悪い

   経営コンサルタントの特徴は、社外の第三者であるということ。社内からは出てこない客観的な指摘が持ち味ですが、他人の言葉に耳を貸したがらない自信満々のオーナー社長とは、そもそも相性がよくないのかもしれません。

   私の体験でも、こちらの提案一つひとつにすべて文句をつけて却下する社長がいました。却下するだけではなく、自分の案を主張し、コンサルタントを自分の案の事務処理的な役割で使っては満足げにしていました。これでは社内にいる部下と変わりません。

   コンサルはプロの立場からそれなりに正当性の高いアドバイスをしてくれているはずです。社長が意見を出すのはいいとしても、否定ばかりして自分の考えに固執するのなら、はじめから雇わなければいいのにと思ったものです。

   このように、中小企業の社長は経営コンサルタントを活かし切れていないケースが実に多いのですが、経営の基本的な部分で道に迷いがちな中小企業ほど、コンサルがもっているノウハウが役に立つの場面も多いと思うのです。

   使い方に正解はないとは思いますが、私の経験から考えるポイントとしては「活用してやろうという積極性」と「意見に耳を傾ける素直さ」の両面が必要と思います。長年多くの中小企業を見てきた中で、コンサルを活かすも殺すも社長次第とつくづく思います。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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